
花粉症の症状の主なものは、「鼻水」「鼻づまり」「くしゃみ」「目のかゆみ」になりますが、
それ以外に、咳や喉のかゆみが辛いというケースがあります。
最近の傾向として、喉に炎症が起こる花粉症が増えています。
中には、これらの花粉症の代表的な症状が全くなく、咳が出て止まらなくなったり、喉にかゆみが出たりするケースがあります。
このコラムでは、喉の花粉症についての、症状、原因、解消方法、注意点などにつていの情報をお届け致します。
目次
花粉症で咳が痰が出る原因は?
花粉症によって、喉になんらかの症状が現れるケースに
は主に3つあります。
これら3つについて、次にてご説明致します。
杉よりも細かい花粉によるもの
9,10月頃に起こりやすいブタクサなどの杉よりも細かい花粉を吸うことによって鼻の粘膜のフルターをすり抜けて喉まで到達してしまうケースです。
秋は、キク科の植物のヨモギ・ブタクサ、カナムグラ・イナクサなどの種類の花粉が飛散します。
これらの植物は主に河川敷・空き地・道端に生えており、背丈が比較的低い植物なため、杉と比べると花粉の飛散する量は少ないのですが、生活圏と隣接している場所にあるため症状が出ることがあります。
これらの植物の中で特に粒子が小さいのはブタクサで、これが喉・気管支に入りやすいのです。
春は粒子の大きい花粉では鼻でとどまる場合が多いのですが、粒子が細かい花粉は気管支に到達して、その花粉を出そうとして、咳が出て気管支喘息の原因となります。
ご存じのように、花粉症は花粉を敵とみなし体から排除しようと過剰に反応してしまうことによって起る病気なので、喉に届くと喉がアレルギー反応を起こしてしまうのです。
鼻水要因
花粉症によって、鼻水が大量にでて来て、それが収まりきれず、喉にまで流れ落ちてくることがあります。
これを後鼻漏(こうびろう)と言いますが、後鼻漏が激しくなると、喉の粘膜に炎症が起り咳が出るようになります。
花粉が気管支入ることによる
花粉は喉、気管支に入ってくることがあります。
花粉症によって鼻がつまることで口呼吸が中心になります。
そうなると、鼻で止められるはずの花粉が、喉・気管支まで到達してしまうことがあります。
そうなると、喉・気管支から花粉を排除しようとする反応によって、咳が出るようになります。
またスギ花粉も、鼻を通り抜けて喉まで到達することもあります。
今までは、花粉の粒子は大きいので、鼻で止まると考えられてきました。
しかし、花粉の周囲に多数付着しているオービクル、ユービッシュ体と呼ばれる微粒子、飛散中に砕けてしまった花粉の一部などは鼻を通過して、喉まで到達するので、喉・気管支に炎症を起こします。
秋の花粉症による咳
花粉症といえば、春先のスギ・ヒノキの花粉を連想される方は多いかと思われます。
春の花粉症といえば、「くしゃみ、鼻水、鼻づまり」が3大症状であり、いびきなどを合併することがあります。
一方で、秋にも花粉症に似た症状を発症することがありますが、前述の症状に加えて咳が出る事が特徴です。
先に述べたように、秋はキク科の植物のヨモギ・ブタクサやカナムグラ・イナクサなどの種類の花粉が飛散します。
これによって、秋に花粉症になり、喉に炎症が起きます。
咳だけ出るケース
先に述べたように、花粉症は喉に炎症が起きて咳が止まらなくなることがあります。
その中でも、「鼻水」「鼻づまり」「くしゃみ」「目のかゆみ」がほとんどなく、咳だけが出るケースがあります。
咳がきつい場合は耳鼻咽喉科、呼吸器科へ診てもらいましょう。
これが、喘息に発展する可能性があるので、自分の判断で処置するのではなく、専門医に見てもらうことが賢明です。
喉花粉症のを見分けるポイント
喉花粉症の特徴を挙げてみます。
これで、花粉症なのか、風邪なのかの目安になります。
【咳】
花粉症→コホンという乾いた軽い咳
風邪→ゴホンという痰が絡んだような重い咳
【喉】
花粉症→かゆみ
風邪→痛み
【鼻水】
花粉症→透明でさらさらな鼻水
風邪→白色ないしは黄色の粘り気のある鼻水
【くしゃみ】
花粉症→1に何回も出る。
風邪→頻度はさほど多くない
【熱】
花粉症:出たとしても微熱
風邪:微熱から高熱
人によっては、全然風邪が治らないと思っていたら、喉花粉症だったなんてこともあります。
これらの症状で判断してみましょう。
花粉症で咳、喉のかゆみが発症するメカニズム
異物である花粉を排除しようとする防御作用が花粉症を起こします。
花粉症患者の場合、体は花粉を異物として捉えていますので、その花粉が喉まで到達したときに体の外に排除しようとして、気道の粘液が痰となって花粉を絡めて体外に出そうとするため、咳をします。
不必要な体の防御作用によって起こります。
黄色い痰は病気のサイン!?
花粉が喉のさらに奥の気管粘膜に付着すると、気管粘膜は粘液で花粉を包み込み、痰になります。
痰は気道粘膜の上に生えている細かい繊毛の働きで口のほうに送り出されるか、または鼻水が多すぎて鼻の穴から外に出るだけでは足りない場合や、鼻づまりのために外に鼻水が出られない場合、鼻水が奥に流れ込みます。
既に述べたように「後鼻漏」として気道に流れ落ちて痰になります。
これによって出る痰は基本的に透明か白色の泡のような見た目です。
これにはアレルギー反応に関与している好酸球やリンパ球の死骸を含でいます。
ここで、痰を出そうとして咳をしすぎることにより、咳によって気道に激しい気流の流れができ、気道粘膜が損傷を受けることがあります。
これによって、ますます粘膜が過敏になり痰と咳が増えるという悪循環になり、ウイルスや細菌が粘膜に感染し、そういった病原体を駆除するために白血球のうち好中球が活動し始め、その死骸や炎症の老廃物が痰に混じると、痰が黄色や緑色になってきます。
黄色や緑色の痰が出た場合は、花粉症だけでなく何らかの感染が起こっているサインかもしれません。
黄色や緑色の痰が出た場合は、耳鼻咽喉科、呼吸器科へ診てもらうと良いでしょう。
花粉症の咳が喘息になる!?
花粉症のシーズンに咳の症状が長引いた場合は咳喘息かもしれません。
咳喘息になると、8週間以上空咳が続きます。
特徴は気管支喘息のようなゼーゼー、ヒューヒューという音を伴わない咳なのと、咳が出始めるとなかなか治らないなどの点が特徴です。
咳喘息は、最近になって増加している病気で、現代病と言えます。
今の医学では原因が特定できておらず、アレルギーやストレスなど様々な原因が重なり発症すると考えられています。
その原因の一つに、花粉症があります。
花粉症がきっかけに咳喘息になることも珍しくありません。
咳喘息に移行することを避けるためにも適切な花粉症対策をしていくことが大事です。
治療は耳鼻科、呼吸器科で行い、抗アレルギー薬、気管支拡張薬、ステロイドなどを症状に応じて使用されます。
過去に喘息の既往歴がない方でも咳喘息になる可能性があります。
咳喘息、間違った治療や治療が不十分だと症状が悪化し、気管支喘息に移行する危険性があります。
咳喘息を疑う症状があれば早めに受診するようにしましょう。
花粉症で咳が出始めたら、病院で正しい治療を行うことで、喉喘息にも、気管支喘息にもならないで済みます。
対処方法は?
花粉症が原因で起きる咳を完全に治すには、花粉症そのものを治癒しなければできません。
しかし、今の医学では花粉症を治す方法が見つかっていないのが現状です。
できることは咳が激しいときに、それを和らげることです。
治すのではなく、つらい症状を小さくすることは出来ます。
咳は多くの場合、喉の炎症によって起き、その際には喉が乾燥していますので、喉の保湿することで症状が和らぎます。
喉を保湿する方法を次に挙げます。
❐喉飴、喉スプレー
喉飴や喉スプレーは喉の保湿と炎症を抑える効果があります。
普通の飴でも、ある程度の効果はあります。
❐加湿器
加湿器で室内の湿度を保つことによって、喉に潤いを与え喉の炎症を和らげることができます。
❐吸入器
吸入器は、ダイレクトに加湿された空気を喉に送り込むことによって、喉の炎症をラクにします。
❐うがい
うがいは外出後に行うと、水で喉を湿らせ、喉に付着した花粉を洗い流すことができます。
症状がきついときは、頻度をあげることによって、効果が高まります。
❐マスク
花粉症の吸入を減らし、喉を保湿にも一定の効果があります。
呼気に含まれる水蒸気によって保湿が得られるのです。
❐蜂蜜レモン
蜂蜜にある殺菌作用とレモンのビタミンCが喉に作用します。
❐生姜湯
生姜の体を暖める作用と殺菌効果が有効です。
❐緑茶
緑茶の殺菌成分が喉に働きます。
花粉症の咳の治療薬
喉の保湿を心がけると、咳の症状は和らぐ事が多いです。
しかし、きつい症状のときは保湿だけでは効果が上がらない場合もあります。
その場合は投薬での対処も必要になります。
薬は症状やその人の体質に応じて適切に選ぶ必要がありますので、医師や薬剤師へ相談の上摂取しましょう。
花粉症の咳を抑える薬は、花粉症の治療薬と基本的には同じです。
花粉症の咳を抑える薬を次に挙げます。
【抗アレルギー剤】
花粉症の方の体に花粉が侵入すると、抗体と結合し、何種類もの化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が排出されます。
この化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が花粉を排除するように、鼻や目、喉などへ指令を出します。
この司令によって、花粉症の辛い諸症状を引き起こしています。
この司令を出している化学伝達物質を出さないようにするのが「抗アレルギー剤」です。
【抗ヒスタミン剤】
多数ある化学伝達物質の代表が「ヒスタミン」と「ロイコトリエン」です。
ヒスタミンはかゆみ、くしゃみを起こす働きがあり、鼻水の分泌が増えるのもこれによるものです。
抗ヒスタミン剤は、このヒスタミンの働きを抑えることで症状を防ぎます。
【抗ロイコトリエン剤】
ロイトコトリエンは、血管を広げ、粘膜の腫れを引き起こす化学伝達物質です。
この物質によって鼻詰まりや瞼の腫れが起こります。
抗ロイコトリエン剤は、ロイコトリエンの働きを抑え、これらの症状を防ぎます。
【ステロイド剤】
ステロイド剤は、特定の症状を抑えるのではなくアレルギーが生まれる全体のメカニズムの機能を抑制することによってアレルギー症状を抑えます。
効果は強いですが、他の正常な抗原抗体反応も抑えられてしまうため、副作用が起きるリスクがあります。
医師の処方に基づいての服用が必須です。
まとめ
花粉症で喉に炎症を起こすケースは、年々増加傾向にあり、そのリスクは喉喘息、気管支喘息へと発展することです。
喘息になる前に、適切な治療をして花粉症のままでとどまらせることが重要です。
黄色い痰がでたら要注意です。
先送りせず、早目に耳鼻科、呼吸器科への診察をしましょう。