年に一ヶ月ぐらいしか、飾らない雛人形は、収納されている期間の方が圧倒的に長いという面があります。
そのことから、収納状態がそのまま劣化の進行スピーに直結すると行っても過言ではありません。
雛人形は、石膏の頭部や絹などでできた髪、ガラスの眼、絹織物の衣裳、金具など、様々な素材で構成されています。
収納の状態によって、顔や身体のヒビや剥がれ、結露によるカビ、シミやダニなど虫の害、などが発生してしまいます。
雛人形を良い状態に保つためには、仕舞う際の清掃と仕舞うタイミングとその場所選びが重要です。
このコラムでは、雛人形を長く綺麗に飾るために必要な収納ノウハウをご紹介致します。
目次
雛人形を片付ける時期
雛人形を片付ける時期は次のご家庭が大半を占めます。
- ひな祭りが終わったら直ぐ
- 「啓蟄の日(けいちつのひ)」3月6日頃
- 3月中旬
雛人形を片付ける時期に関しての詳細は次のコラムをご参照願います。
雛人形を片付ける際の注意点
個人的な話をしますが、雛人形を片付ける際は特になにも考えず、ハタキで埃を祓い、人形やパーツをタオルで軽く拭いてから、箱に一つ一つ仕舞っていました。
また、天気なんて気にしたこともありませでした。
冷静に考えると、約1年弱の間、風通しの悪い場所に置かれ続けるので、片付け際のやり方しだいで劣化や痛みが生まれる心配は十分にありえるということに気づきました。
できるだけ、傷まないように片付けるために必要なことをご紹介致します。
布製の手袋は必須
見た目では気づかないのですが、直接手で雛人形を触ると皮脂が付着します。
付着した皮脂は白い部分だと、時間の経過とともに黄ばみになりますし、絹の部分だとシミや汚れになります。
触ったときには分からないのですが、翌年飾る際にその影響が出ますので、必ず布手袋をして作業しましょう。
片付ける順序は下の段から
片付ける順序は下の段から片付けます。
何故かと言うと、上から片付けると、下の段に飾ってあるものに触れないように注意しながら、作業する必要が出てきて、やりにくいからです。
また、手が滑って落下させた時に、下段のものへぶつかることで破損が生じるリスクを回避することができます。
雛人形を片付けに必要なもの
雛人形を片付ける際に必要なものは次になります。
- 布製の手袋
- 毛バタキ
- 羽根ハタキ
- 細筆
- 柔らかい布
- 人形用防虫剤
- 人形を包む布
- やわらかい紙
全部揃えましょう。
雛人形を片付ける際の手順
雛人形を片付ける際の理想的な手順をご紹介致します。
まずは晴れの天気の良い日を選びます。
雨の日に仕舞うと、人形に湿気が帯びたまま1年弱の間過ごすことになりますので、劣化が進みます。
- 写真を撮る
- 雛人形の埃を取る
- 本体から小物を全て外し、お道具、調度品を丁寧に拭く
- 雛人形の顔・手・足を紙で包む
- 箱に納めて、最後に防虫剤を入れる
- 収納する
1.片付ける前には写真を撮る
飾った状態で写真を撮っておくと、翌年飾る場合に楽です。
そして、撮るアングルは全体と、個々の人形のアップの両方があると良いです。
全体のアングルの画像は、それぞれの人形の配置を再現させる為に、必要になり、それぞれのアップの写真は、細かいパーツをどこにどの角度で付けたら良いかがわからなくなったときに便利です。
刀、雨傘、扇などを、どの手にどの角度で持っていたのか?が分からなくなった場合に重宝します。
2.雛人形の埃を取る
必ず布手袋しながら、雛人形についた埃を取っていきます。
ハタキは必ず、毛バタキ、羽根ハタキ、細筆を使い丁寧に埃を落とします。
特に隙間部分には埃が溜まりやすいので、細筆を使って丁寧に落とします。
埃の取りこぼしの量に比例して、シミ、黄ばみ、汚れが発生する速度が早くなりますので、ここでどれだけ完璧に埃を取ることができるかで、綺麗な状態に保てるかどうかが決まるといっても過言ではありません。
3.本体から小物を全て外し、お道具、調度品を丁寧に拭く
本体から小物を全て外したら、柔らかい布でお道具や調度品などの全てのパーツを丁寧に拭きます。
パソコンモニター用のハイテククロスを使うと楽に綺麗になりますので、おすすめです。
4.雛人形の白い部分を紙で包む
雛人形の顔、手、足などの白い部分にはティッシュと柔らかい和紙を使い包みます。
最初にティッシュを丁度いい長さにおり、巻き付けていき、その上を柔らかい和紙で包みます。
変形の原因になるので、きつく包むことはせず、必ずゆったりとゆるく包んで下さい。
手足も同様に包んで下さい。
5.箱に納めて、最後に防虫剤を入れる
箱に入れたら、人形と人形の間、ケース面と人形の間に柔らかい紙を詰めて、隙間をできるだけなくして下さい。
収納場所までの移動で、衝撃が人形に出ないようにする必要があります。
最後に人形用防虫剤を入れて蓋を締めましょう。
防虫剤は必須です。
衣類用の防虫剤の中には、雛人形の衣裳に使われる金銀糸と化学反応を起こすものがあるので、必ず人形用の防虫剤を入れます。
300円程度で販売されています。
6.収納する
最後は収納です。
理想的な収納場所の条件は次になります。
お雛様の収納場所は、湿気の多いところや高温になるところは避けます。
- 湿気が少なく風通しがよい
- 大きな寒暖差がない
- 直射日光が当たらない
- 換気装置がついている
ご自宅の収納場所としては、上へいくほど湿度が低いので、押入れの最上段、天袋などの場所がおすすめです。
また、できれば定期的に換気する部屋が望ましいです。
収納後のケアー
収納後の注意点としては、収納した場所の換気です。
押し入れや天袋などは、1年間まったく開閉しないということが多いでしょう。
そすると、カビや虫食いのリスクが高まります。
定期的に収納箇所のドアをあけて数時間程度換気をすることをおすすめします。
終わりに
雛人形は、専門的技術を持った職人の方が、作った芸術品とも言えるとても高価なものです。
そして、長年に渡って飾るものなので、大切に扱う気持が大事だと思います。
汚れた雛人形だと、その御利益も小さくなる気がしますし。