以外と知られていない「秋の七草」の存在。
「春の七草」は1月7日に七草粥を食べて、その年の無病息災を願う行事として一定の認知度があります。
秋にも七草があることは意外と知られていません。
それは、秋の七草は特別な行事として利用される草花ではなく、あくまでその美しさを鑑賞して楽しむための7つの草花なので、「秋に鑑賞して楽しめるきれいなお花7選」という意味合いが強いことによるのだと思います。
このコラムでは「秋の七草」の意味、由来、時期、覚え方などについての情報をご紹介致します。
目次
秋の七草の由来・意味は?
秋の七草の由来は7世紀の時代にも遡る万葉集にあります。
万葉集には山上憶良の2つの首があり、そこには秋に咲く7つの草花が登場するのです。
山上憶良の首その1
秋の野に咲いている草花を指折り数えると7種類ある詠われています。
山上憶良の首その2
それらの草花は萩の花、尾花、葛(くず)の花、撫子(なでしこ)の花、女郎花(おみなえし)、また藤袴(ふじばかま)、朝貌(あさがお)の花であると詠われています。
秋の七草は春の七草のような行事ではなく、意味は特にないと言えます。
秋の七草の花言葉は?
秋の七草の花言葉をご紹介致します。
①萩(はぎ)
花言葉
花期:7月~10月
分布:東アジア、南アジア、北米東部、オーストラリア
特徴:背の低い落葉低木で、茎は木質化して固くなり、根本から新しい芽が毎年出る。
秋の時期には枝の先端から多数の花枝を出し、赤紫の花の房をつける。
②尾花(おばな)
花言葉
花期:夏~秋
分布:日本では全国的に日当たりの良い山野に自生している。
特徴:尾花(おばな)はススキの別名で、イネ科ススキ属の植物で、穂が動物の尾に似ていることがこの名前の由来とされている。
外形は高さ1~2m、地下茎を有しそこから多数の花茎を立てる。
③葛(くず)
花期:8月~9月
分布:日本国内各地、中国、フィリピン、インドネシア、ニューギニア
特徴:つるを伸ばして拡散し広範囲に根を下ろす。
繁茂力が高く短期間で低木林を覆い尽くすほど成長が早い。
花後に剛毛に被われた枝豆に似ている扁平な果実を結ぶ。
④撫子(なでしこ)
花言葉
花期:4月~11月(品種によって違う)
分布:北半球の温帯域
特徴:撫子はナデシコ科ナデシコ属の植物で北半球の温帯域を中心に約300種が分布し、ヒメハマナデシコとシナノナデシコは日本のみに自生し、他にはカワラナデシコとハマナデシコが国内に分布する。
⑤女郎花(おみなえし)
花言葉
花期:8月~10月
分布:日本全土(沖縄を除く)、中国~東シベリア
特徴:夏までは根出葉だけを伸ばし、その後花茎を立てる
サイズは草の丈が60~100 cm程度になり黄色い花を咲かせる。
⑥藤袴(ふじばかま)
花言葉
花期:8月~10月
分布:日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国
特徴:通常は無香であるが、乾燥すると茎や葉に含まれているクマリン配糖体が加水分解されて、オルト・クマリン酸が生じ、桜餅の葉のような香りがする。
散房状に小さい淡い紫紅色の花を咲かせる。
⑦桔梗(ききょう)
花言葉
花期:6月~9月
分布:日本全土、朝鮮半島、中国、東シベリア
特徴:外形は根が太く黄白色をしており、高さ40~100cm程度にもなる。
秋の七草に入っているが実は6月中旬~9月頃が開花時期である。
星型の花を咲かせ、雄花期と雌花期がある。
秋の七草の覚え方
秋の七草の覚え方をご紹介致します。
「5・7・5・7」で覚える
次の言葉を繰り返して唱えていくと、頭に残ります。
ハギ・キキョウ→クズ・フジバカマ→オミナエシ→オバナ・ナデシコ
5→ハギ・キキョウ
7→クズ・フジバカマ
5→オミナエシ
7→オバナ・ナデシコ
頭文字で覚える
次は、頭文字で覚える方法を2つご紹介致します。
お好きな服は?」で覚える。
【おすきなふくは?】
おみなえし
すすき
ききょう
なでしこ
ふじばかま
くす
はぎ
「ハスキーなお袋」で覚える。
【はすきーなおふくろ】
はぎ
すすき
ききょう
なでしこ
おみなえし
ふじばかま
くす
秋の七草の時期はいつ?
秋の七草はすでにお話したように、食べる草ではなく見て鑑賞をする草花です。
これらの花の開花時期は、現在の歴では9月中旬~末ぐらいの間になります。
万葉集で詠われていた時代は、旧暦(太陰暦)だったので7月~9月の間ででした。
旧暦と新暦では1~2ヶ月の開きが生まれるので、この違いがあるのです。
秋の七草はまだ暑さの残る初秋の時期に咲く、花たちになるのです。
ただし、花言葉の項で花ごとに開花時期を記載した通り、花によっては4月から開花しているもの、11月ごろまで咲いている花もあります。
まとめ
秋の七草は、秋の紅葉のより前の時期になります。
これを鑑賞できる場所は「静岡の萩の寺 蓮華寺」「東京都の向島百花園」「京都府の谷性寺(ききょうの里」などを筆頭に国内に有名どころが色々とありますので、紅葉の前にもう一回季節の風景を楽しむ機会を持つことができますね。
山上憶良が奈良時代に詠んだ「秋の七草」へ、一度ぜひ行ってみることをおすすめします。