空き家バンクとは?使い方、実態、問題点、メリットなどについて調べてみた
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空き家バンクとう自治体が運営する、不動産情報サイトの実態、問題点、使い方、メリットなどについて調べてみました。

人口減少によって空き家が増えているという問題は、かなり以前からマスコミ等で取り上げられて来たと思います。

その問題を解決するのに、空き家バンクは救世主になり得るのでしょうか?

まず現状では税金の無駄遣いになってしまっており、先々においてもその実態は変わらないのではないかと予測します。

このコラムでは、その辺の見通しなどについても、私なりの意見を書いてみました。

空き家バンクとはなにか?

空き家バンクとは、主に自治体や自治体から委託を受けた団体によって運営されている、空き家所有者と利用希望者をマッチングをする仕組みと運営体のことです。

空き家バンクは不動産会社が運営する、売り物件・貸出物件の掲載サイトと、性質的には似たようなものです。

しかし、不動産会社は取引の発生による仲介手数料を得る営利目的で運営されているのに対して「空き家バンク」は営利が目的ではないという点が違います。

空き家が増え続ける原因その1「人口減少」

日本の人口減少フェーズにあるので、空き家は増え続けるとう現象は避けて通れないことでしょう。

平成22年(2010年)をピークに日本全体の人口は減少傾向に転じました。

そして、人口減少だけではなく、人口構成の高齢化が進んでおり、2018年の時点でのデーターでは、50歳以上の人口が5,700万人にも登り人口全体の45%を占めています。

 

つまり、経済活動が少なくなる年齢の人口は45%にも上っており、その傾向は益々強くなる流れのなかにいます。

 

単純に人口減少による住宅過剰の状態にプラスして、これから家を購入しようという人たちはもっと減少していきます。

これらのデータから考えると、空き家問題が今まで以上に急速に進行すると言うのは、明らかです。

 

空き家が増え続ける原因その2「過疎化」

平成22年(2010年)~平成27年(2015年)の間に日本全体の人口は0.8%(67万3千人)減少しています。

そして、人口減少は過疎地からどんどん加速しています。

次の表は県別人口減少率トップ10ですが、上位はそもそも人口が少ない県が占めています。

【平成22年(2010年)~平成27年(2015年)人口減少率ランキング】

順位 県名 減少率
全国 -0.8
1位 秋田 -5.8
2位 福島 -5.7
3位 青森 -4.7
4位 高知 -4.7
5位 山形 -3.9
6位 和歌山 -3.9
7位 岩手 -3.8
8位 徳島 -3.8
9位 長崎 -3.5
10位 鹿児島 -3.4

これは、なにを意味するかというと、過疎化が進むとそこの市場価値が下がりさらに過疎化が進むという悪循環です。

空き家が増え続ける原因その3「不動産取引」

3つ目の問題は、「空き家」を不動産会社が取扱をしてくれないとう問題です。

空き家問題はコストを掛けて建物、残置物を処理すれば良いというものではなく、その物件を必要としている人へ住んでもらうことが、経済の活性化、資産の有効活用という面で重要です。

しかし、空き家が増加の一途を辿っている背景には、その物件の情報が必要としている人い届いていないという問題があります。

建物が古くて、以前の住人のモノ(残置物)があるような物件を取り扱う不動産会社はありません。

不動産屋は築年数が新しく、家具・家電品はもとより建屋内のモノは全て撤去され、清掃された物件しか取扱をしないというのが基本姿勢です。

市場価値が高く、高額で取引される物件程手数料が取れるので、市場価値が殆どないような物件を仲介しても、利益がでないため取扱を割けるのは当然でしょう。

手数料の法律が変わらない限り、この問題は解決しないのです。

このまま行くとどうなる?

この問題に手おつけないまま、時が流れるとどうなるでしょうか?


(1)過疎地域の街が崩壊して、ゴーストタウン化が起こる

(2)ゴーストタウン化が進むと、その地域の治安悪化がおこり、外国人流入により無法地帯が生まれる

(3)本来その住宅を欲しいと思っている人に物件が回らないでの、経済が沈み続ける

(4)ゴーストタウン化した地域のリソースを失う
農産物、特産品、観光地、スキー場、温泉など

「空き家バンク」とは?

このまま行くと、本来需要がある物件が空き家のまま放置されるという、非常に由々しき事態が進行していくでしょう。

この問題を解決するのが、空き家バンクです。

空き家バンクは、主に自治体そのものや自治体から委託を受けた団体によって運営されており、空き家の所有者と物件を探している人とを引き合わせる仕組みです。

「家いちば」のような完全に民間企業によって、同じようなサービを提供している会社もありますが、ここでは自治体が運営しているケースを前提にその希望をご説明致します。

「空き家バンク」が行っていることは、普通の不動産会社がやっていることとほぼ同じです。

決定的な違いは、民間の不動産会社の目的は営利の追求ですが、「空き家バンク」は営利ではなく、空き家を市場で流通されることによって生まれる市民の利益です。

ですので、空き家バンクは費用も必要がありません。

税金で運営されているので当然といえば当然でしょう。

民間の不動産屋では取り扱わない物件を「空き家バンク」では取扱い不動産仲介業者のような機能を提供してくれるのです。


空き家の所有者にとっては、「
物件を探している多数の人へ、物件情報を告知できる」ようになります。

物件を探している人にとっては「自分が求めている物件情報を入手することができる」ようになります。

今までなら、個人的な伝や知人などの情報からしか入手でき
なかった物件が、常時情報が流通するようになるのです。

「空き家バンク」の仕組みはどうなってるの?

「空き家バンク」で自治体が何をしているのかというと、それは次になります。

(1)物件所有者から、売りたい物件の情報を受付、それをサイトに掲載する。
(2)そのサイトを見て、購入を検討したい人からの問い合わせを受付、所有者へ連絡する。
自治体はあくまで、紹介するだけで取引は所有者と購入者の間でおこなう。
(3)取引を進めるために、仲介する不動産屋を紹介をしてくれる。

尚、この運用方法は各自治体によって異なり、当事者が仲介業者が必要かどうかを決める、取引開始の段階から不動産仲介業者を立てて話しを進める、宅建協会の会員に仲介してもらうなどの方法が取られています。

当事者が不動産取引に関する素人の場合は、仲介業者を立てることが前提になると思います。

↓は神奈川県小田原市の物件取扱の流れを書いた図ですが、ここの場合は、宅建協会、不動産協会に仲介をしてもらうことが前提になっています。

利用希望者がサイト上に掲載している以上の情報を入手したい場合は、自治体に利用登録をして、内見しにいくことが出来ます。

内見の引き合わせは、自自体経由で所有者に連絡が入るか、直接利用者から入りますが、自自体によって様々です。

また、最初から不動産屋を仲介させる運用の場合は、利用者が不動産屋に連絡を入れる運用が多いようです。

「空き家バンク」はまだ実績が少ない

「空き家バンク」の利用状況はどの程度になっているのでしょうか?

まずは物件登録件数を次に掲載します。


国土交通省「平成 28 年 空き家バンク運営実態調査」結果報告書 より転載

1 ヶ月の物件登録数は 0.1 件以上 0.5 件未満が一番多く全体の 31.4%となっており、全体の69.0%が 1 件未満の物件登録数となっております。また、月間の物件登録数の平均は 0.9 件/月。

一つの県での登録がたった0.9件/月というのは、まだ殆ど普及していないという実態が見て取れます。

月間の物件成約数のデーター

国土交通省「平成 28 年 空き家バンク運営実態調査」結果報告書 より転載

1 ヶ月の物件成約数は 0.1 件以上 0.5 件未満が一番多く全体の 45.2%となっており、全体の89.0%が 1 件未満の物件成約数となっております。また、月間の物件成約数の平均は 0.4 件/月。

一つの県での成約件数がたった0.4件/月というのは、まだ殆ど普及していないという実態が見て取れます。

各自治体が、空き家仲介業を始めたわけですが、その実績は殆ど上がっていないと言っても良いでしょう。

成果が上がらないのはなぜか?その1サイトの問題

先に上げたように「空き家バンク」は空き家を流通させるという目的達成に、殆ど寄与していないと言えます。

先に上げた「家いちば」という空き家物件掲載サイトは、2年間で125件の物件を掲載し15件が成約されました。

サイトを見ていると今はもっとハイペースで成約が出ているのが分かります。

掲載されてるい物件が成約済になって、削除まで何日かかかるのですが、この成約済案件を頻繁に見かけます。

自治体が運営する不動産仲介サイトと、家いちばがなぜ圧倒的な結果の違いがでるのかというと、その一つは物件の紹介が上手だと言う点があります。

↓は那須市の物件記載

夫々の物件の魅力、特徴がなんなのか?が全く分かりません。

↓は、茨城県那須市の物件情報を書いた資料の1ページ目

物件の客観的なデーターしか書いていません。
このような住宅のサイズ、などの情報が次ページ以降続く。

一方次は家いちばのトップページ

物件の特徴、メリット、性格が人目でイメージできるように、コピーが書かれています。
「房総の別荘、リノベーションして使っていましたが沖縄に移るので売ります」などと書かれています。

コピーが書かれているかいないかで、そのページをクリックされる確率が大きく変わるのは、民間企業では常識です。

物件の詳細ページには、使用状況、売る理由、残置物の情報が人間目線で書かれています。

物件掲載をしているサイトの構成、画面、コピー、情報掲載方法どれをとっても、自治体のものは非常にわかりにくく、その物件の魅力も表現されていません。

利用者の利便性を考えたり、より魅力的に見せる方法を考えたりする、ビジネス能力が全くない自治体が不動産物件情報、仲介サイトを立ち上げても成果が上がらないのは、当然と言えるでしょう。

成果が上がらないのはなぜか?その2

現状では、掲載サイトのクオリティーが非常に低いので、空き家バンクよりも家いちばのような民間企業が運営している掲示板に掲載した方が契約に至る確率が高くなるのは言うまでもないでしょう。

自治体がやっているのは、空き家物件の掲載サイトを立ち上げ、所有者がそのことを知れば掲載申し込みをしてくださいという、箱を作っただけです。

街にお店を一件建てただだけで、その店の看板になんの工夫もされていない上に、運営者は媒体を使って安く効率的に空き家所有者と空き家に住みたい人への、効率的な広報活動をしていない。

これだけでは、今まで流通していなかった空き家が、流通し始めるとうところまでは行かないでしょう。

必要な施策

自治体ができるのは、所有者が空き家を販売するとなんらかの補助金が出るなどの金銭的メリットを出す必要があるでしょう。

必要な施策はどんあものがあるでしょうか?

①所有者が売ると得をする施策
②物件購入者が買うと得をする施策

また、移住してくれた方へ補助金をだすなどの施策も必要でしょう。

一部の自治体では、物件の購入金額の1/10を補助する、賃貸の場合は家賃の1/2を補助するなどの魅力的な補助を出しているところもあります。

現在の法律では無理かもしれまんが、税制を優遇して、大企業の工場を誘致して人口を増やすなどの施策も面白いかもしれません。

次は補助金、優遇措置の実例です。

▶益田市空き家バンク登録推進奨励金・登録支援補助金
空き家所有者への補助金を出す例です。

▶小林市|空き家バンク活動事業補助金
空き家の所有者へ、賃貸契約が決まった場合に、家屋の修繕にを補助する例です。

▶みやこ町あき家バンク
空き家の所有者へ、賃貸契約が決まった場合に一時金(奨励金)を支給してくれる例です。

▶恵那市空き家バンク活用支援補助金制度
空き家所有者へ、空き家バンクへ登録すると、改修補助費用が支給される例です。

空き家バンクの物件の探しかた

空き家バンクは運営組織が数百にも及び、物件を探すのはとても使いづらいです。

「住みたい市区町村名+空き家バンク」で検索すると出て来る場合もありますし、出て来ない場合もあります。

自治体のサイトから入って空き家バンクを探すこともできます。

希望の地域の空き家バンクが見つからないときは、その自治体が運営していないか、外部委託している可能性がありますので、自自体へ電話して聞くのが早いでしょう。

JOINという空き家バンクの情報サイトもあります。

まとめ

空き家を持っているけど売れっこなと思っている方は、自分の自治体で空き家バンクがあるかどうかをまずは調べてみることをおすすめします。

そして、補助金制度がある場合は積極的に利用しましょう。

もし自治体に無いのであれば、家いちばなどの物件掲載サイトに載せるのも手です。

正直空き家バンクよりも圧倒的に契約が決まる可能性は高いでしょう。

購入したい方は、「住みたい地域名+空き家バンク」で検索してみましょう。

物件が入れ替わるので、ときどきチェックすると良いと思います。

個人的に思うことを書きますが、不動産情報サイトの運営を自治体がやるということは、結局非常に効率が悪くうまく回らないという結果になるのは目に見えています。

物件を効率的に市場で流通させるにはそのビジネスの経験とノウハウと成功させる動機を持った人・組織がやらないとうまくいくはずがないからです。

自治体には、これらの成功されるに必要な3つの要件全て満たしていないのが実態でしょう。

(1)不動産を流通させるビジネス経験がない
(2)不動産を流通させる能力がない
(3)不動産を流通させることを成功させる動機がない

道路に例えると、自治体という幅1mの通路を使ってものを運ぶ運営体を使うか、民間企業という片側4車線の道路を使ってものを運ぶ組織を使うかという違いだと思います。

補助金で税金を沢山投入しても、幅1mの狭い通路で運べる物量は増えないということ。

どんなにトラックや、配送員の人員をコストをかけて増やしても、その道幅がボトルネックになって、かけたコストが無駄になるということ。

流通させる仕事は全て民間にまかせて、国と自治体は法律の整備と補助金などの優遇措置だけをすれば、空き家問題の解決が進むと思います。

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