節分に食べる代表的な料理はどんなものがあるの?

節分に食べる食べ物としては豆撒きをして、その福豆(炒った豆)を食べるという方は多いかもしれませんが、他にも縁起ものの料理があるというのはご存知でしょうか。

近年では、豆蒔き以外だと「恵方巻き」(巻き寿司)を食べる方が多くなっていますが、実はこれ以外にも節分にまつわる縁起の良い料理があります。

豆蒔きの意味は、邪気払い、魔除け、福を呼び込むことにありますが、節分にまつわる料理にもそれぞれ、その意味が込められています。

このコラムでは、節分にまつわる料理と、その料理のそれぞれの意味についてご紹介致します。

節分にまつわる料理


節分は今私達が採用している新暦(グレゴリオ暦)では2月3日頃になりますが、この日は旧暦では大晦日になります。

新暦が採用される明治5年までは、この日が大晦日で翌日の立春の日が元旦だったので、節分に食べる食べものとは大晦日に食べる食べ物のことでした。

そして、今ではだいぶ廃れてしまっていますが、節分にまつわる料理は6種類あります。

節分にまつわる料理は次になります。

節分にまつわる料理

  1. 恵方巻き
  2. イワシ料理
  3. けんちん汁
  4. 節分そば
  5. 福茶
  6. こんにゃく料理

    巻きとイワシ料理までは、ご存知の方が多いと思いますが、それ以降の4つについてはあまり知られていないのではないでしょうか。

     

    節分料理の意味は?


    節分料理にはそれぞれ意味があり、今年1年の縁起を担いている食材が選ばれています。

    それぞれ、どんな意味があるのかについて、ご紹介致します。

    1恵方巻き


    恵方巻きの「恵方」とは、毎年節分の日になると訪れる「歳徳神」という神様がいらっしゃる方角のことを言います。

    恵方巻きをその神様がおられる方角を向きながら、一気に食べることがお作法←とされており、それによって邪気を払い、福が舞い込むと考えられています。

    恵方巻きはラッキーセブンと七福神にちなんで、7種類の具を入れるとよいとされています。

     

    2イワシ料理


    関西では定着している風習に、節分に柊(ひいらぎ)イワシを玄関先に飾るというものがあります。

    鬼は匂いと尖ったものが苦手だと言われています。

    イワシを焼きその頭を、尖った柊の先に挿して玄関に飾るのが柊イワシの風習なのですが、これによって鬼が苦手な焼いたときのイワシの匂いと、柊のとんがりが、魔除けと邪気払いになると考えられているのです。

    この風習から節分にイワシ料理を食べるのは良いとされます。

    イワシの料理の仕方は「いわしのしょうが煮」「いわしのかば焼き」「いわしの焼きナゲット」「いわしの香り煮」「トマトといわしのソテー」「いわしのハンバーグ」「いわしのつみれ汁」など複数ありますので、お好みの方法で食べるとよいでしょう。

     

    3けんちん汁


    節分にけんちん汁を食べる習慣は関東中心に存在します。

    作り方は、大根、人参、ゴボウ、里芋、こんにゃく、お豆腐などをごま油で一旦炒めてから、煮込で汁物にします。

    根菜にごま油が入るので、この寒い時期を乗り切るのにはピッタリだったのでしょう。

    この由来に関しては、二つの説があります。

    その一つは、鎌倉の建長寺というお寺の蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)という修行僧が、豆腐をくずしてしまい、それをそのまま使って、野菜も入れて汁物を作ったところそれがとても美味しかったので、寺内で好評を博した。

    それによって、お寺の名前を取って建長汁(けんちょうじる)と呼ばれる汁が生まれ、「けんちょうじる」が「けんちんじる」へと発音が変化して今に伝えられているという説です。

    もう1つは、中国伝来の巻繊(けんちぇん)というもやしをごま油で炒め塩・醤油で味付をした料理があり、これは肉も魚も使わない料理だったとされ、今のけんちん汁ととても似ています。

    この「けんちぇん」という呼び方が「けんちん」へ変化していったという説です。

    個人的には、建長寺派生の説を信じます。

    何故かと言うと、けんちん汁には、肉・魚そのものを使っていないだけでなく、出汁も「鰹」ではなく「昆布」からとっており、肉・魚を完全に入れないとう、お寺の精進料理の考え方によって作られているからです。

     

    4節分そば


    これは今で言う年越しそばになります。

    旧暦を採用していた明治5年(1872年)までは、節分は大晦日だったので、その日には節分そばを食べる習慣がありました。

    当時は、節分の日に食べるので「節分そば」と呼ばれていました。

    しかし、明治5年に西洋の新暦が採用されたため、節分は12月31日→2月3日頃にずれたのですが、節分そばの習慣はそのまま残り、新暦の12月31日にもそばを食べる習慣が生まれました。

    新暦の12月31日は「節分」ではないため「節分そば」→「年越しそば」と名称が変わったというのが、この名称の由来のようです。

    そばを食べる理由は、そばは長く伸ばして細く切って作る食べ物なので、「細く長く」ということから「健康長寿」「家運長命」などを願う意味があります。
    そばには「ルチン」(以前はビタミンPと呼ばれていたこともある物質)という栄養素が含まれたおり、毛細血管の壁を強くする作用があるため、高血圧を予防すると言われています。

    その意味から、寒いこの季節の健康管理という意味でも合理的な食であったと言えます。

     

    5福茶


    福茶には梅、昆布、豆が入れられ、それぞれに縁起の意味があります。

    梅ーおめでたい
    昆布-喜ぶ
    福豆(3粒)-まめまめしく

    福豆が3粒なのは縁起のいい吉数だからです。

    これらの縁起の良い食べものが入っていることと、豆蒔きに豆を自分の年の数だけ食べることができなかったとしても、この福茶を飲むことで代用されると考えられていました。

    福茶は平安時代に疫病が流行った際、この疫病が絶えるよう祈願し観音様を彫りそこへ「梅、昆布、福豆」を入れたお茶をお供えしたところ、人々が次々に回復したことから、この観音様へお供えしたお茶を「福茶」と名付け、以後飲まれるようになったという説があります。

     

    6こんにゃく料理


    昔の人はこんにゃくを「胃のほうき」「砂おろし」などと呼んでいたそうです。

    昔は節分が大晦日だったので、体に溜まったその年の毒素がこんにゃくを食べることで、排出するので食べるようになったのでしょう。

    食物繊維が豊富なことで有名なこんにゃくですが、当時はそんな知識はなくても、体験的に胃腸に良いことを知っていたのでしょう。

    終わりに


    今は節分といえば豆蒔きと、恵方巻きを食べる以外の風習は殆ど廃れてきていますね。

    面白いのは、縁起担ぎ的な要素だけでなく、栄養素の観点でも有効な料理が多いという点です。

    そして、かなり定着している「恵方巻き」を食べるという習慣というのは、実はあまり節分とは関係がなく、小売業界の利益拡大のために近年生まれた習慣←なのです。

    節分は種まきだけではなく、もう一つ習慣を増やしたいと思います。

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