2017年12月6日のNHK最高裁は、放送法は合憲であるという判決を出しました。

これはまさに予想通りの判決結果です。

この件につてい、私なりにそのポイントを述べさせて頂きます。

この裁判の判決は、実はNHKにとってとても厳しい判決になっています。

NHKとしては、この裁判で勝訴することによって、テレビを持ってるのに契約をしない人をに対して、プレッシャーをかけることを意図した裁判であったわけですが、その目的はマイナスに作用した結果になりました。

しかしマスコミの報道を見ていると、この判決の本質的なポイントが全く明示も解説もされていないのでので、どこにこの問題のポイントがあるのか?また、放送法は合憲なので今NHKと受信契約をしていない人は、しなければならないのではないか?などの、疑問に対して全く答えていない状態です。

それどころか、NHKとの受信契約義務が合憲との判断が最高裁から出された!という部分だけが報道され、それはNHKがあたかも勝ったかのような印象を受けます。

しかし、この判決結果はNHK側の攻勢が相当不利になったものだと言えるのです。

このコラムでは何故、何が不利になったのかも含めその本質を深く切り込んで書かせて頂きます。


判決のポイント

この判決のポイントは4つありますので、それらの詳細を次に書きます。

 

NHKと被告両方の上告を棄却した判決

この判決は各上告を棄却した判決だということ。

つまりは、高等裁判所の判決に対して、不服なので原告であるNHKと被告両者がが最高裁へ上告したものを棄却した判決だということです。

高等裁判所の判決が正しいと、最高裁も判断したといことです。

判決文を↓の載せます。

 

受信契約

NHKは、「テレビ設置者に対してNHKの受信契約を締結するよう申請したら、その日から2週間後に自動的に契約が成立する」という主張をしていましたが、これは認められないという判決が下りました。

理由は、放送法をには、NHKから受信設備設置者への一方的な申し込みによって受信料の支払い義務は発生せず、受信契約の締結(双方の合意)によってはじめて生じるものである。

NHKが設置者の理解を得られるように努め、契約が締結されることが望ましい。

契約成立には双方の意思表示の合致が必要だ。設置者が受信契約の申し込みを承諾しない場合は、NHKが承諾の意思表示を命ずる判決を求め、判決の確定によって受信契約が成立する。

 

 

マスコミの報道を見て、「NHKとの受信契約義務は合憲だから、自分も契約しないとまずい」と勘違いする方がいますが、この判決はNHK側にとって極めて厳しい判決だと思います。

なぜかというと、NHKの訪問人があなたの自宅へNHK受信契約をするよう迫ってきたら、「契約しません!私と契約したかったら訴えて下さい、私は裁判所の命令に従います。」と言えば相手は帰らざるおえないからです。

今回の最高裁判決は、それをハッキリと明言しているわけですから、最高裁がそう言ってるでしょ!と言われたら、相手は返す言葉がありません。

それと、「テレビ設置者が契約を許諾しなければ、NHK裁判所に訴えその判決によって契約するかしないかが確定する」との判決が出ているわけです。

これはNHKにとっては、契約を拒否されたら相手を全件裁判所に訴えて、場合によっては3審まで争って、勝てたらやっと受信契約締結までこぎつけるという極めて厳しい判決だと言えます。

契約を拒否した相手を全件訴えるというのは、現実的ではないので、言い方を変えると、「NHKの受信契約は拒否できる」と言う解釈も成り立ちます。

さらには、裁判で勝訴するためには契約拒否者がいつからいつまでテレビを設置しているかと、NHKを見ていることを証明する必要があるので、これも不可能でしょう。

仮に証明したとしても、そんな個人情報をどうやって入手したのかという別の問題が発展します。

この項目では、NHKは完敗したという事になります。

NHKの契約要求を断っても良いという判決が出たのですから、これはとても画期的な判決です。

但し、テレビの設置とNHKを見ているという証拠をNHKが握った場合は、その人を対象に積極的に裁判に訴えるということをやり始める可能性があります。

制度の合憲性

テレビ設置者にNHKの受信契約を義務付ける法律は合憲であるという判断です。

理由は、「財政基盤を受信料で確保する仕組みは、国民の知る権利を充足する目的にかない、合理的。憲法上許容される立法裁量の範囲内であることは明らかである」とういうことですね。

あまりにも時代錯誤した理由ですね。

NHKを見ることができなくなると、国民の知る権利が損なわれるという常軌を逸した理由を最高裁は掲げています。

放送法ができた昭和25年(1950年)当時はテレビ局がNHKだけだったので、その状況ではNHKが見られなくなることによって、知る権利が損なわれると言える時代だったでしょう。

最高裁は、平成29年(2017年)という今の時代に67年前の環境を適応させるという狂った考え方を当てはめたということになります。

1950年と2017年のメディア環境が全く同一だという認識にたった理由付には、これが同じだという根拠を明示すべきでしょう。

ただし、この狂った理由をもとにした判決はある意味仕方がないのかもしれません。

67年前にできた法律を踏襲してきたのは立法府である政治家ですし、我々有権者の責任だからです。

これだけメディアのあり方や、ソースの数・質も激変している状況下で放送法の基本的な枠組み(部分的には変わっています)は67年間変えていないわけですから、そのほうが問題でしょ!という思いが最高裁にはあるのでしょう。

それを、司法の判断に委ねるのは無責任過ぎませんか?と言うのが本音な気がします。

さらに面白いのは、前項ではNHKの契約要請を断っても良いし、その場合は裁判で決着をつけるべきとも言っているわけです。

契約を義務付けている放送法は合憲だけど、その契約義務は断っても良いとい取れる相反する判決を出しているのです。

見方によっては、本質的な判断を下すことを回避したとも取れる判決です。





支払い義務はテレビ設置日まで遡る

判決理由は「受信契約を締結した者は受信設備を設置した月から受信料を支払わなければならないとする規約は、設置者間の公平を図る上で必要かつ合理的だ。承諾を命じる判決の確定により受信契約が成立すると、受信設備設置の月以降の分の受信料債権が発生する。」ということです。

この判決は、民法で定められてる時効が適用されないという判断を最高裁がしたということになります。

テレビを設置しているにもかかわらず、NHKと受信契約していない方は、最初にテレビを設置した日まで遡って、受信料を請求されるということになります。

民法では、「定期給付債権は、5年間行使しないときは、消滅する」と定められていますが、この法律が適応されないということになります。

民法169条の原文を下記に記載します。

民法第169条
民法第169条(定期給付債権の短期消滅時効)の条文第169条(定期給付債権の短期消滅時効)年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。

この部分は私の推測になりますが、民法169条が適用されない理由は、NHKと契約をしていないこと自体が放送法違反になるので、法律を破っている期間については適用外になり、契約をして受信料を支払わなかった場合は適応されるということになるのだと思います。

ポイントは次の2点

(1)裁判所の判決が契約義務があると出た時点で契約がはじめて成立する。

(2)契約は、テレビ設置日に遡って締結する。

民法169条は「定期給付債権が発生してから5年でその権利が主滅する」と謳っていますが、この裁判のケースでは債権そのものが判決日まで発生していないので適応されないとうことでしょう。

債権は発生したのは、まさに2017年12月6日の判決日になるのです。

放送法では、契約義務はありますが、支払い義務は謳われていないので、未契約は違法、契約締結した上での不払いは合法になるということです。

NHKの受信規約第4条には、「テレビを受信出来る設備を設置した日から契約をする」と記載されていてそれが最高裁も認めたとうことになりますが、この受信規約は総務大臣に登録しており、それを最高裁が無効と言ったら違う問題に発展します。

総務大臣が違法な規約内容を今まで何十年も認可してきたという責任問題にも発展しますし、今までこのルールで契約してきた人達が返金を要求するNHKを相手取った集団訴訟が起こる可能性もあります。

個人的には、未契約が時効も適用されずに何十年でも遡って契約しなければならないというのは、おかしいと思います。

前項の問題と関わって来ますが、契約は双方の合意によってのみ成立するという前提で、受信者が契約拒否をした場合は、裁判所にその判断を委ねるというなら、契約拒否をしてから何年以内に裁判でその契約するかどうかの判断を出すという期限を設けるべきでしょう。

そうでないと、NHKは契約締結努力何十年でもサボることが許されてしまいます。

それとこの判決だと、契約しちゃって、お金を払わないほうが得をするとになるので、契約そのものの意義が問われてくるのはではないでしょうか。

物事は、時が経てば経つほどその証拠が少なくなっていきます。

何十年も経ったら、テレビを設置した日はいつかなんて分からなくなります。

その観点から言っても、契約するかしないかをできるだけ早く決着をつける方向に司法の判断がなされるのが正しいと考えます。

設置日の確認・確定はどうやってするのかも問題となるのでしょう。

設置日に遡って契約するとなると、NHK側は設置した日がいつなのかをどうやって確認するのでしょうか?

テレビ設置者の自己申告に頼らざるお得ないでしょう。

 

それぞれの裁判官の意見

毎日新聞の記事に乗っていた、裁判官別の意見は下記になります。

岡部喜代子裁判官の補足意見

緊急時などの必要な時にNHKを視聴でき、公平負担の趣旨からも受信設備設置者に契約を求めることは合理的。

これは時代錯誤も甚だしい、キチガイじみた考え方ですね。

緊急時の情報提供は他局もありその情報ソースは同じです。

本当の緊急対応はJアラートなどのスマホにその席を譲っています。
北朝鮮がミサイルを発射したとき、「NHKはそれを発射前に予測し地域ごとに危険なエリアを瞬時に判断し、◯◯街の方はどこどこのビルの地下に避難しなさい」などの緊急避難に関する情報を提供したでしょうか?

しなかったでしょう、ただミサイルが発射された相当時間が過ぎてから発射されたことを他局と同じタイミングで報道しただけです。(笑)

緊急時のニュースはあらゆるメディアから情報が発信されて、そのうちの一つにNHKがあるというだけに過ぎません。

しかも独自の情報ソース、緊急対応組織もないので、その存在意義はゼロと言っても過言ではないでしょう。

緊急時のニュースソースから情報を受取りそれをタダ流すだけのNHKは緊急時には不要な存在です。

NHKが独自の緊急時対応システムや組織がを持っているのなら別ですが、ただ情報を転送するだけの局を他の局とは差別して特別にお金を払って維持するという理屈はあまりにも時代錯誤と言わざるお得ないでしょう。

頭の中が50年遅れていると思わざるお得ません。

鬼丸かおる裁判官の補足意見

締結強制は契約締結の自由という司法の大原則の例外。受信契約の内容も法定されるのが望ましい。
きっとこれが司法の本音なのでしょう。

放送法そのものに無理があるとういことを言いたいのだと思います。

小池裕、菅野博之裁判官の共同補足意見

受信設備を廃止したとしても、過去の設置から廃止までの期間の受信契約締結を強制できる。

この設置を誰がどうやって証明するのでしょうか?

そこまで踏み込んで意見を述べるべきだと思います。

木内道祥裁判官の反対意見

放送法64条1項が定める契約締結義務は、意思表示を命じる判決を求めることができる性質のものではない。判決によって締結させようとしても、契約成立時を受信設備設置時に遡及(そきゅう)させることや、契約内容の特定を行うことはできず、設備を廃止した人への適切な対応も不可能だ。(共同)

この意見が、常識的だと思います。

 

未契約で訴えられたらどうしようと心配な方へ

今テレビがあるのに、NHKと契約をしていない方は、このお裁判の判決を見て「自分も訴えられるのではないか」と心配しているかもしれません。

しかし、その心配は「テレビを設置していてNHKを見ている」という証拠を握られていなければその心配は限りなくゼロに近いでしょう。

この裁判のとても重要な点があります。

別のコラムでも書いていますが、多分この被告はNHKを見てる証拠をNHK側に握られているといことです。

このことについて書いてある情報がないので断定はできないのですが、なんでそう思うかというと、NHKはテレビを設置していることとNHKを見ているという証拠を握っている相手しか訴えないからです。

テレビを設置している証拠も、NHKを見ているとうい証拠もない相手を訴えるはずがないのです。

その証拠がなければ裁判には殆ど勝ち目がありません。

では、どうやってその証拠を掴んだかというと、NHKBSを映すと画面にBSメッセージが大きく出ますが、それはテレビを見る上でとても邪魔なものです。

このメッセージを消すにはNHKへ消して欲しい旨の連絡を入れる必要がありますが、その処理をこの被告はしてしまったのだと思います。

この処理をするとメッセージは直ぐに消えますが、NHK側に名前、電話番号、住所などの情報を伝える必要がありますので、NHKを見てるという証拠になってしまうのです。

この処理をしていない方は、訴えられる可能性は殆どないと思いますが、逆にしちゃった人は訴えらる可能性が高いでしょう。

NHKは証拠を握っている相手を最優先に裁判を起こすからです。

その方は、早目に契約をしてたほうが良いかもしれません。

まとめ

放送法は何十年も前に賞味期限が切れた食品みたいなものです。

時代から大きく遅れを取ってもう久しい法律なのです。

例えると、あなたは家の固定電話を10年以上前に撤去し、普段から携帯電話で人と会話をし、LINE、facebookを使って人とコミュニケーションをしているとします。

更には、Skype、ZOOMで海外の国内・海外の友人と時々話をしたり、ミーティングをしています。

地震情報などの緊急情報はスマホのアプリを使って得ています。

そして、台風などで電車が止まるなどの事態が起きたときは、ツイッターの投稿を見て、自分が今いるポイントから、一番楽に移動できる方法を探します。

ところがそこに、固定電話会社の人が来て、固定電を契約してください。
固定電話の契約は法律で強制されています。
情報伝達、緊急時の連絡、避難情報の伝達を行うのに、固定電話は必須でライフラインになります。
契約しないと、あなたが緊急時大変なことになります。

と言ってきたとします。

あなたはどう思うでしょうか?

・必要がないから撤去した固定電話が、あなたにとってないと困る必須のサービサービスである。

・緊急時の連絡が出来るのは固定電話しかない。
・緊急時に情報収集ができる唯一の手段は固定電話のみである

・あなたの命を守るためには、固定電を契約して、お金を払う必要がある。

このようなナンセンスな理屈で契約を迫ってくるのです。

NHKとはこのような存在なのです。

固定電話が不要な方も、必要な方も両方いて、契約をするかどうかは利用者側にその選択権があります。

ときは2017年を終わろうとしており、私達が使っている通信手段は多様化と高度化を同時にしながら進化し続けています。

それは、テレビのような大本営発表を垂れ流すのではなく、より個人にカスタマイズ、ローカライズされた細やかな情報を入手することができるようになっています。

これから益々、大本営タイプのメディアの需要は小さくなっていくでしょう。

その小さくなっていく需要に対して、視聴者がお金を払ってその組織を維持していくというのは、無理がありすぎると言わざるお得ません。

しかし、放送法のもとでは、この時代遅れの巨大な組織を拒否できないという話なのです。

憲法で保証されている、自由意志よりも放送法の契約義務が優先するというのは、今後大きな問題に発展するのではないかと思います。

しかし、今回の最高裁判決は合憲という判断を下しました。

これは、当たり前でしょう。

放送法は昭和25年(1950年)に制定されたわけですが、もし、違憲という判断をだしたら今までに契約して支払った受信料を返せと言う話になりますし、そんなことになったら、NHKは即破綻します。

そんな判断を最高裁が出せるはずもないでしょう。

国民の代表でもなんでもない、たった15人の公務員の判断でNHKを潰すような判決をすべきではないでしょう。

このような賞味期限が数十年も前に切れている、腐敗臭が漂う法律を維持し続けてきたのは、立法府であり、有権者なのだからあなた達でちゃんと考えなさい。

最高裁はそう言っているのだと、思うのです。

そして、放送法は合憲である。

しかし、契約は断っても良いという、相反するの判決が出たのは、放送法の歪みを象徴している判決なのだと思います。