
家いちば、という不動産サイトが話題になっています。
このサイトの特徴は従来の不動産会社では取り扱ってくれなかった物件を取り扱ってくれるという点です
次のような物件は、従来の不動産会社は取り扱をしません。
・価格が決まっていない
・場所は不便な土地
・家が古い
・残置物が多くある
・自分の親、親戚の物件
このことで、何が起こったのかというと、これに該当する物件が人口減少によって多数増えているにもかかわらず、取扱う不動産会社がないために廃墟のまま大量残存する状態が生まれました。
このような物件でも条件次第では欲しい人がいるにもかからず、物件が流通しないという不健全な状態が生まれました。
このような、問題を解決してくれるのが、「家いちば」です。
家いちばの仕組みについての解説コラムは下記になりますので、興味のある方はご参照願います。
サイトの物件をみると、とても安い物件が並んでいますが、場所が過疎地であったり、家のなかに家具や残置物がたくさん残っていて、撤去・大掛かりな清掃が必要であったりと、実際に購入した後に結構な費用がかかる物件が多いのも事実です。
購入後の維持費はどれだけかかるのか?などのことを把握しないと、安いからいざ買ったけど、その後の費用が思いの外高いなどという想定外の結果になる可能性があります。
このコラムでは、家いちばで家を購入する場合に必要な情報に付いてご紹介致します。
目次
家いちばを取り扱ったテレビ放送
家畜・やぎ付の物件を買った夫婦の話しが取り上げられています
実際の購入した人の口コミ
家いちばの物件を見ていると、これ欲しいかも!と思いう格安物件が多数見つけることができます。
しかし、ネット上を探し見ても、家いちばで購入した際の口コミ情報は皆無でした。
ヤフオクみたいに一人の出品者が多数の出品を継続的にしているというようなものではないので、口コミがなかなかないということです。
しかし、従来の不動産業者ではない、格安物件が購入できるということで、興味を持っているという口コミ情報は多数見かけます。
家いちばでの物件の選び方
不動産会社で12年は働いている友人がいるので、彼に不動産の選び方と、「家いちば」みたいな不動産紹介サイトで不動産物件を探す際の注意点を聞いてみました。
そうすると、「家いちば」で買うのか、普通の不動産会社で物件を探すのかは重要ではないと言いますいます。
それよりも、もっと根本的な選び方のルールがあるというのです。
不動産選びの王道
彼いわく、不動産を買うときに必要なのは、自分のニーズとウォンツをはっきりとするために書き出してみること、それらの優先順位を明確にすること、の2つだそうです。
つまりは、自分が購入する物件に対して何を望んでいるのかを明確にすること。
多くの人は、不動産物件を購入することそのものにワクワク感を感じていて、購入してから何を求めているのかを忘れちゃっている人がいます。
「家いちば」みたいな安い物件だと特にそれは顕著に現れそうです。
絶対譲れない条件と、譲ってもよいけどできたら欲しい条件を明確にしておきます。
それを箇条書きにて、重要な順に順位をつけるという作業が必要なのだそうです。
この優先順位の付け方は、「希望にあった賃貸物件見つけ方マニュアル!効率的にストレスなく出来る!」というコラムで解説しておりますので、ご参照願います。
その条件を満たしているかどうかを見て、候補を上げることで間違いのない不動産選びができるということでしょう。
複数の部件を見る
次に必要なのは、最初に見てこれいいなという物件があってもすぐには購入しないということ。
それはなぜかというと、気になる案件をピックアップして、実際に物件を見に行き、チェックすべきポイントを実際に自分の目で見て、チェックすることで、部件選びの経験を少ないながらも積めるからだそうです。
物件を選ぶときのチェックポイント
購入に当たって、テックすべきポイントを挙げておきます。
最低でもこれらのポイントがどうなっているかを押さえた上で購入するかどうかを決定しましょう。
敷地のチェックポイント
1.なぜ売り出されたの?
この物件が売りに出された理由を知っておくことは重要です。
住んでいた方の家族の事情なのか? 周囲の環境の変化によって不便になったために売ることになったのか?例えば隣にマンションが建って日当たりや見晴らしが悪くなったという事情がある、増築や建替えをすると建築基準法上の問題がある、過疎化が進み、近隣にあったスーパー、病院がなくなった等、格安物件には、なにかしら問題がある場合が多いので調べておいた方が良いでしょう。
2.敷地境界を確認しよう
実際に現地へ行って、どこからどこまでを購入しようとしているのかを、必ず自分の目で確認する
その物件の境界線はどこになるのか、塀がたっていれば自分の敷地にあるのかそれともお隣なのか、敷地の縦横の長さを敷地測量図の数字に照らし合わせ自分の目で確認します。
境界杭などがない、境界があやふやな時は、隣家とも相談して土地家屋調査士に依頼し、境界をはっきりさせましょう。
それができない物件だとすると、後々トラブルになります。
全面道路の幅員を計ります。
復員が4m未満の場合は、建築基準法上では道路とみなされない専用通路となります。専用通路だとするとその通路の所有は誰なのかを確認しておく必要があります。
それから、前面道路が4m未満の場合、新たに増築や新築をしようとした場合、セットバックをしなければなりません。(セットバックとは、道路幅員が4m満たない道路は、道路中心より2m後退したラインを敷地境界とみなし、新しく建築する場合は、その境界を基準にする)
不動産業者に地積測量図を見せてもらいましょう。
3.再建築が可能かを確認
再建築の際に今建っている建物より小さな建物しか建築できない場合があります。
敷地の接道部分が建築基準法で定められた2mより短いと再建築すらもできません。
敷地を選ぶ際は、建蔽率や容積率・全面道路の幅・敷地の接道面の長さなども調べておきましょう。
よく分からなかったら、自治体の建築指導課に図面を持っていけば、将来、今と同じように建てられるかどうか教えてくれます。
4.土地についている権利関係がないかを確認する
物件に抵当権は付いているかどうかを確認しましょう。
ローンで住宅を購入すると、大抵債務者は抵当権の設定をします。
抵当権のついた物件は、そのまま売却することはできません。
入前に登記簿謄本で確認しておきましょう。
登記簿謄本には、色々な権利関係が記載されていますので、抵当権以外の権利関係についても確認できる事ができます。不動産業者に依頼して日付の新しい謄本を見せてもらうか、物件の管轄の法務局に行けば、自分で謄本をとることができます。
建物の構造は?
日本はもともと地震大国でしたが、北日本大震災以降それが更に顕著になりました。
中古住宅を購入する際は、構造についても心配があるものだと思います。
一般の住宅の工法も現在では色々な種類があります。
在来工法(木造軸組み工法)・ツーバイフォー工法・プレハブなど様々です。
ツーバイフォーやプレハブ住宅は、比較的建てられた時期が新しいものが多いので、大地震の経験も少なく、耐震力の判断ができる実績も少ないですが、一般住宅では特に何工法が強い弱いという問題では無く、それぞれの工法ごとに、建築基準法で構造上満たしておかなくてはいけない条件があります。それが最低限であるか、ゆとりを持った設計になっているかでも違いますし、その設計通り施工されているかも重要な要素です。
建築の決まり事を記した建築基準法の耐震施工基準は、1981年以降に新基準になり、より厳しいものになりました。だからといって、単純にそれ以前に建てられた住宅は、新しい住宅よりも強度が劣っているという訳ではありません。
この点は信頼できる専門家に任せるしかありません。
素人が自分で見ても何もわからないですね。
建築士に設計図面を元に現場を確認してもらい、構造・耐震診断等してもらうと良いです。診断後、耐震補強工事が必要な場合は、補強工事のおおよその金額を聞いておけば物件購入時の予算やリフォームの予算を立てるときの参考にできます。
このへんの確認は、本当にこの部件を買うと気持ちが固まった段階でもいいでしょう。
建物の良し悪しは築年数だけでは判断できない
築年数で住宅の良し悪しを決め付けてしまうことはできません。
税法上、木造住宅の耐用年数は22年と決まっていますが、メンテナンスや管理の状況によって、耐用年数は相当変わってきます。
建物の良し悪しを判断するために、建てられた時のいきさつや、増改築の経緯などの情報を収集しましょう。
建築時の確認通知書や検査済書があれば安心です。
検査済書があれば、新築時に第三者のチェックがされているという事になります。
法律上は、全ての住宅には行政の確認済み証と検査済証が交付されているはずですが、建売住宅や一部の注文住宅では、確認はとっていても検査済み証はとらないといった事例が多く、現実的には中古物件に検査済書等の書類が添付されることは、ほとんどないというのが実態です。
この書類の存在だけで建物の良し悪しがわかる訳ではありませんが、造られた時に、行政等の第三者によって検査を受けた物件なのかどうか分れば、ひとつの参考になります。
建物のチェックは、床下などの目に見えない部分もチェックしておきましょう。
目に見えない部分の補修費の方が一般的には工事費が高いです。
これまでに増改築があった場合等は、既存部分と増築部分の繋ぎ目のところや後付のベランダやテラスなどに問題が起き易いので注意してください。
中古購入後に増改築をしたいと考えているならツーバイフォー工法やプレハブ・RC工法などは壁を抜いたりする事は困難で不向きです。その点、在来工法なら間取り変更や増改築は容易にできます。
建物の外回りや中身をチェックするポイント
(1)外回りをチェックする
住宅の傷み具合や耐震性は、建物の形、外観を見るだけでわかる事も有ります。
(2)基礎
土台は家の要ですので、チェックしておきましょう。
鉄筋がはいっているのか?床下換気口の数は十分にとれているのか?床下の換気が悪いと、湿気が床下にたまり、構造材を傷めてしまいますので要注意です。
(3)建物のかたちは
駐車場の上に2階がある場合など、1階に大きな空間(ピロティ)がある場合は、特別な施工をしていない限りは木造住宅には不向きです。
壁が無いので、地震で揺れたときに建物が捻れたり、柱が動いてしまうので非常に壊れやすいです。
また、コーナーに出窓がある場合などは、建物の角に筋交がないということですので地震のときに壊れやすいです。
(4)2階部分の配置
2階の壁が1階の壁や柱の真上に乗っていない場合は、注意が必要です。
建築屋さんが使う言葉で「乗りが悪い」といいますが、特に2階部分の隅柱(角の柱)の下に、1階の壁(梁や桁)や柱がなければ建物の骨組みは相当無理をしています。地震や台風の力は、建物の弱いところに集中します。無理の無いバランスの取れた骨組みかどうかは、2階の乗り方に問題無いかで判断できます。
(5)外壁
外壁がモルタルの場合は、ひび割れやカビがないか探してみてください。
モルタルなどの湿式工法では寒暖の差などで細かなひび割れ(ヘアクラック)ができる場合があります。ヘアクラックを放っておくと壁内に水が入り込んで構造材を傷めている可能性がありますので要注意です。
(6)屋根
屋根の形が複雑になると谷になる部分ができます。
その谷の部分には雨水が集まるので、雨漏りの原因になり易いです。
また関西では、昔から台風の通り道の為、瓦の下に土をいれて建物全体を重くしている事が多いので、その屋根の重さは40坪ほどの家で約3トンから4トン程度あります。最近は土を入れない空葺きやスレートやガルバリウム鋼板を使用した軽い屋根材もあります。
(7)中身を覗く
間取りやインテリアだけに目を奪われてはいけません。
重要なのは中身です。
(8)床下
手間ですが床下を覗いてみてください。台所に床下収納庫があれば、そこから床下が覗けます。なければ和室の畳を上げれば床下に入ることができます。
カビ臭くないか、土が湿っていないか、風の通りはどうか等確認してください。
床下が湿気ているようでしたら、コンクリートの上の土台をドライバー等で刺して見てください。簡単に入るようなら腐っています。また、シロアリが出ていないかもチェックしておきましょう。
(9)屋根裏
屋根裏を覗くと、屋根を支えている木材を見ることができます。
その木材の接合部分に隙間があったり、ズレたりしていないかを確認したり、金物を止めているボルトが緩んでいないか、錆びていないかを見ましょう。
湿気た所が有ったりすると雨漏りや結露の疑いがあります。
また、結露が有るということは、屋根裏の換気が十分にとれていないという証拠です。
この様な状態では、夏になると熱がこもり、真下の部屋の温度にも影響します。
また結露は、木の寿命を縮めたりカビで室内の空気を汚したりします。
(10)建具
建具を実際に動かしてみましょう。
建具の建て付けだけでも分かることが有ります。
引っ掛かりが有ったり、閉めたときに隙間が空いたりする部分が有れば、柱が傾いていたり建物が歪んでいる可能性が有ります。
床にビー玉を置いて転がるようなら床が傾いていますが、厳密に瑕疵保証を疑うなら床の傾斜測定をした方が良いでしょう。
(11)壁のひび割れ
内装でビニルクロスが裂けていたり、土壁の場合では端や角に隙間が大きく開いていたりすると建物が変形している場合があります。よく注意して見てみましょう。
現場チェックは雨の日を選ぼう
物件を見に行く日は雨の日にすることが定石です。
何故かと言うと、晴れた日には分らない不具合をチェックできるからです。
例えば、軒裏や壁に水シミはできていないか、実際に雨漏りがないかをチェックできます。
床下浸水がないか、下水はあふれてきていないか、道路や隣から水が流れてきていると地盤不良の恐れもあります。
2階に上がったら天井のシミも確認しましょう。
あと、窓廻りも雨漏りの多い場所です。水溜りがないかもチェックしましょう。
設備関係のチェックは入念に
(1)水廻りのチェック
水廻りのチェックは入念に行ってください。
リフォーム時でも水道の配管工事のやり直しなどは、想像以上に高くつきますし、水漏れや結露があると周囲の木を腐らせてしまっている可能性が有ります。
配管の割れが無いか?水漏れは無いか?また周囲に結露が無いか?確認できれば周りの木の様子も調べてみると良いです。
特に浴室については、造成浴室の場合は、タイルの目地が寒暖の差等で割れ、隙間から水漏れがしている事があります。
また、窓の廻りは外気との温度の差による結露で傷んでいる場合があります。
造成浴室は、必ず浴室内のタイルや窓の廻り等の傷み方もチェックしてください。
(2)電気の容量は大丈夫
古い住宅は、その当時に必要であった容量の配線しか施されていませんので、エアコン・テレビ・ドライヤ・電子レンジなどを同時に使用すると、すぐにブレーカーが落ちてしまう事が有ります。
中古住宅を購入する際は、まずその家の分電盤をみれば総容量を確認することができます。もし、既存の容量が20~30A(アンペア)位ですと電化製品が多いお家の場合では、少々不安です。電気の容量についても考えておきましょう。
金額の計算
物件価格やリフォーム工事費の他にも必要な費用があります。不動産仲介会社に依頼すると仲介手数料が必要になりますし、公庫や銀行ローンを借りる場合にも、手数料や保証料などの費用が必要になります。
「家いちば」の物件は購入後になにかしらリフォームの手を加えないといけない場合がほとんどです。
そんな時、おおよそのリフォーム金額も物件購入時の予算として見ておく必要があります。購入前には見えない部分、気がつかなかった部分の補修なども有ると思います。
予めリフォームの見積りをとってみるのも良いと思います。
売りたくなった時に売れるの?(不動産の財産的価値)
建物の価値がない物件の場合、建替え費用も考慮する必要があります。
こういった物件の売買の場合、建物に問題があっても売主に責任は生じません。
買主がそのリスクを負うということになります。もしその建物を解体して建替えをする場合、解体費用は概ね3~4万円/坪はかかります。購入費を検討する際に、こういった費用も見込んでおかないと結局は高い買い物をする事になります。
土地の価値をしっかりと見極める
土地に関しては、皆さんの価値観ではなく、路線価や一般的な人気が基準で価格が決まります。
また、現在の建築基準法では建替えの時に家が小さくなる、再建築ができないなどの土地は安く買うことができるでしょうが、売るときにかなり値が安くなってしまうか、最悪の場合は売ることすら困難になります。
周囲の販売事例なども参考にし、物件の価値を見極めましょう。
結局「家いちば」で家を買うにしても、普通の不動産業者から買うにしても基本的なチェックポイントは同です。
但し、「家いちば」からの購入は購入してから生じるリスクが大きいので、購入前により綿密にチェックをして、不動産本体の価格以外にかかる費用をしっかりと算出した上で買うかどうかを決める必要があると思います。
とくに、5年後10年後にいらなくなったら売れるのかどうかも重要です。
過疎化進行中の地域だと、数年先には買い手が付かないかもしれません。
まとめ
「家いちば」は掲載物件を見ているだけで、結構楽しいのではないかとお見ます。
格安で買えてしまう物件がズラッと並んでいます。
しかし、実際に購入するのならば、やはり上記に挙げたチェックポイントを綿密に調べて金額の計算をしっかりする必要があります。
感情的に盛り上がって、一気に購入してしまうと後々面倒なことになる可能性が高いです。



