賃貸不動産物件をサイトで見ていると、構造欄に「鉄筋」「鉄骨」「軽量鉄骨」「鉄骨造」という記載を見かけます。
意外にこれらの違いについて知らない人が多いのではないかと思い、この3つの構造上の違い特徴、防音性の違いについて書きます。
やはり賃貸物件を選ぶ際には防音性というのは、重要な条件になりますので、参考にして頂ければと思います。
目次
アパートとマンションの違いは?
鉄筋はマンションでアパートは木造・鉄骨という区分けがなんとなく頭のどこかにあるかもしれませんが、そういう明確な切り分けはありません。
造り | アパート | マンション |
木造 | ◯ | ー |
軽量鉄骨 | ◯ | ◯ |
重量鉄骨 | ◯ | ◯ |
鉄筋コンクリート | - | ◯ |
一応このような括りになります。
しかし実際は、鉄筋コンクリートのアパートというのも一部あります。
法的には、表示のルールはなく、木造のボロボロのアパートを「セレブヒルズマンションセレクトⅢ」などと名付けてもokなのです。
しかし、スーモで木造、マンションで検索してみたら出てきませんでした。
基本的には、アパートは「木造」「軽量鉄骨」「鉄骨」、マンションは「軽量鉄骨」「鉄骨」「鉄筋コンクリート」という括りが大体正しいです。
軽量鉄骨のメリット・デメリット
軽量鉄骨は、厚さが6mm未満の鋼材を利用して、工場で生産して、現地に持ち込んで組み立てて設置します。
工場で大量生産するので、コストが安くなりますが、パッケージ化されるため、細かい変更ができないというデメリットもあります。
また、軽量鉄骨(プレハブ工法)の法定耐用年数は、27年で、木造の22年よりも長くなります。
しかし、鉄筋・鉄骨コンクリート(SRC)や鉄筋コンクリート(RC)の47年よりも短くなります。
初期費用の建設費用はやすく抑えられますが、長期的にはリフォーム・修繕など耐用年数に応じたコストを考えると、高くつくケースが多いです。
耐震・耐火・耐久・耐風、重量物の積載などの面で、SRC、RCよりも制限があります。
遮音性に関しては、SRC、RCよりも劣りますが、この作り以外のところで、各メーカーが遮音性向上のための研究開発は日々行われています。
重量鉄骨のメリット・デメリット
重量鉄骨は6mm以上の鉄骨を使用します。
鉄骨の素材そのものは軽量鉄骨と同じですが、厚さが違います。
骨の厚みが異なることで、建てられる建物にも違いが出てきます。
軽量鉄骨は比較的小規模の建物が建てられることがほとんどで、戸建て住宅やアパート、小規模の店舗などで使われることが多いです。
高層住宅には向かず2階建ての建物が中心となります。
重量鉄骨を用いるのは大規模なマンションや工場などが建てられることがほとんどです。
鉄骨が厚いためその強度が高く、柱の間隔をより大きくとることができることにより、柱のない広い空間を生み出すことができる点はメリットです。
柱と梁で躯体が構成されるラーメン構造が可能となることから、そうしたメリットが生まれます。
軽量鉄骨は柱と梁に加えて筋交いを必要とするため、レイアウトの自由度に不自由が出るため、重量鉄骨はその点でも自由度が高いといえます。
鉄筋コンクリートのメリット・デメリット
鉄筋コンクリート造には2種類あります。
RC造 → 鉄筋コンクリート構造
SRC造 → 鉄筋コンクリート構造(鉄筋コンクリート+鉄骨)
RC造(鉄筋コンクリート構造とは
高層建築のほとんどで使われている構造が、鉄筋コンクリート構造を指す「RC造」です。
コンクリートの中に鉄筋を入れて、強度を高める方法です。
鉄筋のみの場合、その性質上、距離が長くなると撓みなど生まれ曲がってしまいます。
コンクリートだけだと柔軟性に欠けるため、曲がりに弱い特性があります。
これら、2つの欠点を補い合い、良い特性を活かし合うことで、強度が高い建築が可能になります。
メリットは耐震性や耐久性があり、建物の寿命は50年近くまでち、防音性、耐火性、気密性、断熱性も高くそれによって省エネ効果も高いという事が挙げられます。
軽量鉄骨と違い、鉄骨を工場で大量生産するということが無いため、比較的設計の制限が少なく自由な間取りを取る事も可能です。
デメリットは木造建築や軽量鉄骨(プレハブ工法)と比べると建物自体の重量は大きいため地盤の強化などが必要になります。
気密性の高さはメリットも生みますが、結露が起きやすいというデメリットもあります。
建築時の建築費用が高くなってしまうというデメリットがありますが、耐用年数が長いのでその分生涯キャッシュフローが大きくなるため安いとも言えます。
これらの特徴によって、戸建住宅、世帯数が少ないアパートなどよりもマンションなどの高階層建築に使われることが多い工法です。
鉄筋コンクリート、鉄骨、木造の比較
鉄筋コンクリート、鉄骨、木造の比較を表にすると次になります。
鉄筋コンクリート | 軽量鉄骨造 | 木造 | |
耐震性能 | ◎ | ○ | ▲ |
耐火性能 | ◎ | △ | ▲ |
(耐火仕様可) | (準耐火仕様可) | (準耐火仕様可) | |
耐久性能 | ◎ | △ | ▲ |
(住宅法定耐用年数) | (47年) | (27年) | (22年) |
耐風性能 | ◎ | △ | △ |
遮音性能 | ◎ | △ | ▲ |
間取りの自由性 | △ | ○ | ◎ |
重量物積載 (室内・バルコニー) | ◎ | ○ | ▲ |
初期建築コスト | △ | ○ | ◎ |
長期建築コスト (100年累計) | ◎ | ▲ | ▲ |
木造のメリット・デメリット
木造は日本の住宅の半分以上を占める構造で、木材を構造体に使用します。
木造は建築費用が安く、新築、リフォーム時に自由度が高く木のぬくもりなどを生み出すというメンタル面でのメリットがあります。
一方耐久性は軽量鉄骨と比較しても低く、鉄筋コンクリート構造に比べて火災に圧倒的に弱いです。
また、害虫や気象災害による劣化が生まれやすいです。
遮音性はどうなのか?
それぞれの造りによって遮音性を比較してみます。
構造 | 遮音性 |
鉄筋コンクリート(RC、SRC) | ◎ |
重量鉄骨 | ◯ |
軽量鉄骨 | ◯ |
木造 | △ |
鉄筋コンクリートが一番遮音性が高いです。
コンクリート造りのため、振動が伝わりにくく、壁の厚い建物が多いです。
重量鉄骨と軽量鉄骨はほとんど違いはありません。
骨組みに使用されている素材の厚さが違うだけなので、遮音性の違いはほとんどありません。
木造は音も漏れますし、振動が周辺に伝わります。
しかし、構造だけでは測れない要素も多分にあり、防音構造に力を入れている住宅は軽量鉄骨でも遮音性が高いものもあります。
逆に鉄筋コンクリートでも壁の素材、窓のコーキングが劣化していれば騒音は防げません。
物件を選ぶ際は、スペックとして、構造はチェックポイントですが、やはり内見をして、遮音性を自分で確認する必要があるでしょう。
効率的な物件探し
遮音性の高い物件を探すなら、スーモで検索するのが効率的です。
鉄筋コンクリートという括りで検索出来ます。
自分で物件を探す時間がない方は、イエプラとういオンラインチャットで物件を探してもらいましょう。