賃貸物件に入る際、保証人を立てられないときには保証会社と契約をして、保証人の代わりになって貰うという方法があります。
保証会社と契約をして、実際に家賃を滞納してしまうと、どの様な事態になるのでしょうか。
彼らは取り立てのプロなので、結構厳しい対応をされるということは、世間であまり認知されておりません。
このコラムでは、保証会社と契約して賃貸物件に入居している状態で、家賃を滞納した場合に起こる事態と、その対応策についての情報をご紹介致します。
滞納すると何が起こるの?
保証会社は、賃借人が家賃を滞納した場合、その家賃を家主に立て替え払いします。
そして、それを賃借人から回収します。
不動産管理会社や家主よりも滞納家賃の回収に関してはプロなので、取り立ては非常に厳しいと言う実態があります。
回収出来なければ会社の業績にマイナスが生まれるので、場合によっては非常に激しい手段に出てくる事件が実際に起こっています。
2016年に次のような事件がありました。
家賃滞納者のアパーに新しい鍵を勝手に取り付けて、追い出したという事件です。
これは完全に犯罪行為ですが、このようなことが起こり得るということと、この被害者は訴訟を起こしましたが、泣き寝入りする人も沢山いるでしょう。
部屋のものを勝手に取り上げられたり、部屋へ侵入されたりすることが沢山あるというのが国土交通省の調査でも分かっています。
家賃滞納を理由に無断でアパートに新たな鍵を取り付けて追い出されたとして、東京都の40代男性が山口県岩国市の家賃保証会社「ラインファクトリー」に330万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(戸室壮太郎裁判官)は13日、同社に対して55万円の支払いを命じた。
同社は男性の家財も処分しており、戸室裁判官は「窃盗罪や器物損壊罪にあたる不法行為で、男性の精神的苦痛は重大だ」と指摘した。損害賠償は処分された家財の損害を30万円と算定し、ホームレス状態を強いられた慰謝料を20万円などとした。
判決によると、男性は神奈川県海老名市のアパートに入居。昨年3~4月の家賃計8万円を滞納すると、連帯保証人だった同社が玄関ドアに鍵を取り付け、男性は9日間公園などで過ごした。
男性は「追い出し行為で泣き寝入りしている被害者が多くいることを知ってほしい」と話した。
2016/4/13 日本経済新聞より転載
全ての保証会社が同じようなことをする訳ではないでしょうが、保証会社を使っている場合は厳しい取り立てと、場合によっては強制的に退去させられる可能性があるという覚悟が必要でしょう。
滞納した場合の流れ
保証会社と契約していて家賃を滞納した場合の流れは次になります。
Step1 保証会社から督促の電話が入る。
本人と連帯保証人を立てている場合はそちらにも督促の電話が入ります。
Step2 督促訪問される
電話での督促で家賃を支払わないと、次は自宅にやってきて支払いを要求されます。
連帯保証人を立てている場合は、そちらにも訪問してきます。
Step3 訪問時には通告の書類が投函
『○○日○○時までに滞納分家賃の支払いがない場合は法的処置にて対応しお部屋の明け渡しをお願いする形になりますのでご了承をお願い致します』
というような裁判で訴えるという内容の書面が投函されます。
Step4 賃貸借契約解除通知が内容証明郵便で届く
賃貸借契約を解除する旨の通知が内容証明郵便来ます。
これは本人と連帯保証人がいる場合はそちらにも行きます。
具体的には「○○○○年○○月○○日までに滞納分の家賃の支払いがなかった場合は、賃貸借契約を解除します」というような文書です。
※内容証明郵便とは、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、証明する郵便のことです。つまり、「保証会社が督促状を出した」という事実を証明するものです。
Step5 明け渡し訴訟
家賃の支払い督促と賃貸契約解除の通知に対して、期間内に支払わない場合は、訴訟を起こされます。
Step6 強制退去
裁判所の判決に基づき、賃料を支払い、退去・撤去しない場合は、強制執行手続きを進められることになります。
家賃を払わなければ、このような流れで、最終的には法的強制力を伴いう退去と、銀行口座、給与差し押さえなどの方法による家賃の強制徴収がなされます。
尚、この間は大体3~4ヶ月を要します。
滞納したときにやるべきとこ
滞納してしまったら、やるべきことはどんなことがあるでしょうか。
契約書を読みましょう
入居した際に締結した賃貸借契約書を読みましょう。
そこには、「○カ月間、家賃滞納があった場合は即時契約解除」、「賃料に不履行があった場合には即時契約解除」などという記載があると、1ヶ月分を滞納しただけでも退去を要求される可能性があります。
「貸主や保証会社等が無理やり退去させることができるのか?」というと、訴訟で裁判所からの命令が必要になるのでそれは出来ないと言えます。
直ぐには退去しろということにはならないかもしれませんが、契約書に記載されている滞納時の特約があるかどうかの確認をまずしておくことが肝心です。
まずは家主に相談する
家賃を滞納した場合は、まずは家主に連絡をとり払えなかった事情を説明し、いついつまでには払うという約束をすることが肝心です。
保証会社へ退去、回収依頼をされないようにするのが一番です。
なにもしないと、一気に信頼関係が崩れ、強行な姿勢になられると直ぐに保証会社経由での取り立てになります。
家主も裁判をしたいわけでなく、出来るだけ円満に解決したいと考えていますので、滞納してもちゃんと支払うという意志を示し信頼関係を保つことが重要です。
まとめ
家賃を滞納してしまうことは、色々な事情によって起こり得るでしょう。
そのときはやはり、家主との信頼を保つことに注力し円満に解決するのが良いでしょう。
保証会社でも法律的には、滞納者を怖がらせたり、強行な取り立ては禁じられていますが、ギリギリの線を使って代金を回収してくる可能性が十分にあります。
また、一度滞納をすると、保証会社のブラックリストに載り、今後保証会社が契約してくれないというような事態にもなりかねません。