
TBS系列で放映していた「私を離さないで」の影響もあって、日本でも人気が出ている「カズオ・イシグロ」。
「カズオ・イシグロ」というと、日本の名前だと思うかもしれませんが、日系イギリス人作家です。
長編小説「日の名残り」という作品でイギリス最高の文学賞である、ブッカー賞を1989年に受賞している、世界的にも有名な作家です。
目次
カズオ・イシグロさんの作品の特徴
初めからすべてを明かさない
読者をミスリードするような記述を盛り込む
語りての記憶が曖昧な状態で語られる。
これらの、要素を散りばめることにより、まったく先が見えない進行のなか、超不安と恐怖の中で、だんだんと真実のベールを剥ぎ取っていくというふうにに進んでいくことで、壮絶な体験を小説という文書の中で出来てしまうのです。
6位 浮世の世界
カズオ・イシグロの2重構造的な手法がふんだんに使われている作品です。
この「2重構造的手法」は語り手(小説の中の語りて)が読みてを裏切るのです、、、
多くの小説は小説のなかの語り手を読み手は味方として、信じています。
登場人物が裏切ったとしても、その裏切りを語っている語り手を読みては信じるわけです。
しかし、カズオ・イシグロはそれを裏切るのです。
読み進めるうちに
えええ、、、
自分はなにか世界の捉え方が間違っているのか、、、
という感覚に陥るのです。
5位 充たされざる者
読者をめちゃくちゃ混乱させることを狙った感のある作品です。
この作品そのものがカズオ・イシグロが放つブラック・ジョーク的な位置づけになっているのです。
ですが、読んでいるとどんどん引き込まれていき、読み終わったは後は不思議な満足感に包まれるのです。
4位 日の名残り
これが、イギリスで最高の文学賞である「ブッカー賞」を受賞した作品です。
世間の評価としては、非常に高い作品です。
処女作で開花し始めた、カズオ・イシグロの世界観が項点に達したという感のある素晴らしい作品です。
尚、この作品の語り手は「英国貴族に使えた執事」になっています。
3位 遠い山なみの光
著者の長編処女作になる作品です。
この作品のエッセンスが後期の作品にも継承されていきます。
その意味でも、この初期のカズオ・イシグロが放つ、読み手の感情を揺さぶりまくる、細やかで絶妙な技巧の息がこの作品には多く埋め込まれています。
ここで試した世界観を、以降どんどん発展・成長をさせていたのではないかと思います。
2位 忘れられた巨人
「わたしを離さないで」から10年ぶりの作品です。
今作は今までとは違う、まるでファンタジー作品の路線に乗った内容なのです。
ちょっと以外でした。
カズオ・イシグロ独特の技法はそのまま継承されているのですが、竜殺しの老夫婦が主人公で、旅に出るというストーリーはまるで違う作家になったような物語なのです。
世界的に有名になった今でも、全く新しい世界へとチャレンジする姿勢を持っているというのは凄いと思いました。
1位 わたしを離さないで
カズオ・イシグロの「感情を揺さぶる」そのテクニックが最高潮に使われている作品です。
結果がある程度予測がついているのですが、どんどん引き込まれて行ってしまうのです。
どうやったら、人は失望、悲しみ、感動するのかが分かっている人が書いているという感じなのです。
完璧に綿密に練り上げられた、その設定・構図、文章の流れ、登場人物の性格すべてが、完璧で完全な一つの生き物のような作品です。
カズオ・イシグロ作品は是非一冊読んでみて頂ければと思います。
ハマるかもしれません。