TBS系列で放映していた「私を離さないで」の影響もあって、日本でも人気が出ている「カズオ・イシグロ」。

 

「カズオ・イシグロ」というと、日本の名前だと思うかもしれませんが、日系イギリス人作家です。

 

長編小説「日の名残り」という作品でイギリス最高の文学賞である、ブッカー賞を1989年に受賞している、世界的にも有名な作家です。

 


カズオ・イシグロさんの作品の特徴

初めからすべてを明かさない

 

読者をミスリードするような記述を盛り込む

語りての記憶が曖昧な状態で語られる。

 

これらの、要素を散りばめることにより、まったく先が見えない進行のなか、超不安と恐怖の中で、だんだんと真実のベールを剥ぎ取っていくというふうにに進んでいくことで、壮絶な体験を小説という文書の中で出来てしまうのです。

 

 

6位 浮世の世界

→浮世の画家

戦時中、日本精神を鼓舞する作風で名をなした画家の小野。多くの弟子に囲まれ、大いに尊敬を集める地位にあったが、終戦を迎えたとたん周囲の目は冷たくなった。弟子や義理の息子からはそしりを受け、末娘の縁談は進まない。小野は引退し、屋敷に篭りがちに。自分の画業のせいなのか…。老画家は過去を回想しながら、みずからが貫いてきた信念と新しい価値観のはざまに揺れる―ウィットブレッド賞に輝く著者の出世作。

 

カズオ・イシグロの2重構造的な手法がふんだんに使われている作品です。

この「2重構造的手法」は語り手(小説の中の語りて)が読みてを裏切るのです、、、

 

多くの小説は小説のなかの語り手を読み手は味方として、信じています。

 

登場人物が裏切ったとしても、その裏切りを語っている語り手を読みては信じるわけです。

 

しかし、カズオ・イシグロはそれを裏切るのです。

読み進めるうちに

 

えええ、、、

 

自分はなにか世界の捉え方が間違っているのか、、、

 

という感覚に陥るのです。

 

 

5位 充たされざる者

→充たされざる者

世界的ピアニストのライダーは、あるヨーロッパの町に降り立った。「木曜の夕べ」という催しで演奏する予定のようだが、日程や演目さえ彼には定かでない。ただ、演奏会は町の「危機」を乗り越えるための最後の望みのようで、一部市民の期待は限りなく高い。ライダーはそれとなく詳細を探るが、奇妙な相談をもちかける市民たちが次々と邪魔に入り…。実験的手法を駆使し、悪夢のような不条理を紡ぐブッカー賞作家の問題作。

 

読者をめちゃくちゃ混乱させることを狙った感のある作品です。

 

この作品そのものがカズオ・イシグロが放つブラック・ジョーク的な位置づけになっているのです。

 

ですが、読んでいるとどんどん引き込まれていき、読み終わったは後は不思議な満足感に包まれるのです。

 

 

4位 日の名残り

→日の名残り

品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々―過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。

 

これが、イギリスで最高の文学賞である「ブッカー賞」を受賞した作品です。

 

世間の評価としては、非常に高い作品です。

 

処女作で開花し始めた、カズオ・イシグロの世界観が項点に達したという感のある素晴らしい作品です。

 

尚、この作品の語り手は「英国貴族に使えた執事」になっています。


 



 

3位 遠い山なみの光

遠い山なみの光

故国を去り英国に住む悦子は、娘の自殺に直面し、喪失感の中で自らの来し方に想いを馳せる。戦後まもない長崎で、悦子はある母娘に出会った。あてにならぬ男に未来を託そうとする母親と、不気味な幻影に怯える娘は、悦子の不安をかきたてた。だが、あの頃は誰もが傷つき、何とか立ち上がろうと懸命だったのだ。淡く微かな光を求めて生きる人々の姿を端正に描くデビュー作。王立文学協会賞受賞作。

 

著者の長編処女作になる作品です。

 

この作品のエッセンスが後期の作品にも継承されていきます。

 

その意味でも、この初期のカズオ・イシグロが放つ、読み手の感情を揺さぶりまくる、細やかで絶妙な技巧の息がこの作品には多く埋め込まれています。

 

ここで試した世界観を、以降どんどん発展・成長をさせていたのではないかと思います。

 

 

2位 忘れられた巨人

 

→忘れられた巨人

『わたしを離さないで』から十年。待望の最新長篇! アクセルとベアトリスの老夫婦は、遠い地で暮らす息子に会うため、長年暮らした村を後にする。若い戦士、鬼に襲われた少年、老騎士……さまざまな人々に出会いながら、雨が降る荒れ野を渡り、森を抜け、謎の霧に満ちた大地を旅するふたりを待つものとは――。 失われた記憶や愛、戦いと復讐のこだまを静謐に描く、ブッカー賞作家の傑作長篇。

 

「わたしを離さないで」から10年ぶりの作品です。

 

今作は今までとは違う、まるでファンタジー作品の路線に乗った内容なのです。

 

ちょっと以外でした。

 

カズオ・イシグロ独特の技法はそのまま継承されているのですが、竜殺しの老夫婦が主人公で、旅に出るというストーリーはまるで違う作家になったような物語なのです。

 

世界的に有名になった今でも、全く新しい世界へとチャレンジする姿勢を持っているというのは凄いと思いました。

 

 

1位 わたしを離さないで

 

→わたしを離さないで

 

自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春 の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇 妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々 がたどった数奇で皮肉な運命に……。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく――英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕する評されたイシグロ文学の最高到達点。解説/柴田元幸。

 

カズオ・イシグロの「感情を揺さぶる」そのテクニックが最高潮に使われている作品です。

 

結果がある程度予測がついているのですが、どんどん引き込まれて行ってしまうのです。

 

どうやったら、人は失望、悲しみ、感動するのかが分かっている人が書いているという感じなのです。

 

完璧に綿密に練り上げられた、その設定・構図、文章の流れ、登場人物の性格すべてが、完璧で完全な一つの生き物のような作品です。

 

 

カズオ・イシグロ作品は是非一冊読んでみて頂ければと思います。

 

ハマるかもしれません。