初めて第一子が誕生して、自分の子供生まれた喜びもひとしおななか、初めての子育てが始まり、要領が分からず右往左往しながらやってくるのが、初節句です。
初節句のお祝いはどうやったら良いの?男の子と女の子はどう違うの?いつやるの?など沢山の疑問が湧いてきます。
このコラムでは、初節句に関するお作法、いつやるのか?何をすればよいのか?などの情報をご紹介致します。
目次
初節句はいつやるの?
生まれて初めて訪れる節句の日を初節句と言います。
初節句は次のタイミングでします。
尚、2月に女の子が生まれた、4月に男の子が生まれた場合などは生後直ぐの初節句になってしまうので、翌年に繰り延べる方も多いです。
祖父母と相談しながら、ご自身の負担も考えて、実施時期を検討しましょう。
初節句の意味は?
初節句をお祝いするその意味は、女の子(桃の節句)と男の子(端午の節句)でそれぞれ違います。
その内容について触れたいと思います。
女の子の桃の節句の意味は?
旧暦の3月3日頃は桃の花が咲く日だった為に「桃の節句」と呼ばれるようになり、今でも3月3日が桃の節句とされています。
旧暦の3月3日は上巳(じょいし)の節句と呼ばれていて、上巳とは3月の初めの巳の日を指し、邪気に見舞われやすい日だったそうです。
平安時代に、この邪気を薬草を摘んで厄払いをする習慣がありました。
さらに、自分にもたらされる災いを代りに受けてもらう意味で、紙人形を作りそれを川に流す「流し雛」を行っていました。
今でも「流し雛」の慣習が残っている地方もあります。
この風習が室町時代に入り、巳の日から3月3日と明確に決められる様になり、紙人形が「雛人形」に変わりました。
これが、桃の節句に雛人形を飾り、女の子の厄除けと健やかに成長して欲しいと祈る定例行事となったのです。
男の子の端午の節句の意味は?
端午の節句は3つの要素が重なってできた行事です。
(1)5月5日
「端午」とは、5月の初めの午(うま)の日のことを指していました。
この午(うま)は”ご”と発音できるのでこれが午(ご)→五(ご)に変わり、5月5日に変わりこの日を端午の日ということになったのです。
語呂合わせで出来た日ということになります。
(2)古代中国の厄払いを導入
古代中国では5月に厄払いの行事を行なっていました。
同じ5月に行っていたことから、5月5日にそれと同じ意味の厄払をする行事を日本が導入し、それが広まりました。
(3)薬草の菖蒲→尚武に
邪気払いのために薬草である菖蒲(しょうぶ)を集め吊るす習慣がありました。
菖蒲(しょうぶ)は「武を尊ぶ」という意味がある「尚武(しょうぶ)」と発音が同じことから、鎌倉時代に多くの武家が5月5日を尚武の節句として祝うようになったのです。
午(ご)→五、菖蒲→尚武、たまたま同じ5月に行われる中国の厄払いの行事、これら3つの要因で5月5日の端午の節句という定例行事が定着したのです。
これらの武家で行われていた行事は江戸時代に入ると、庶民にも広がっていきました。
日本は昔から本当にいい意味で柔軟性がありすぎるし、悪い意味では節操がない国民なのだと感じます。
今で言うと、10月にはアイルランド発祥のハロウィーンをやり、12月にはキリスト教のクリスマスを祝い、年が開けると神道の正月を祝い、元旦には神社に初詣に行き、お墓は仏教の教えに沿ってお供えものをして、2月にはバレンタイデー(キリスト教の司祭に因んだ日)がありとなんでもありな日本人です。
初節句のお祝いは何をすればよいの?
初節句のお祝いにすることは①飾り②料理③お参りの3つになります。
飾り
飾りは次のものを飾ります。
飾り関する関連記事は次になります。
→初節句はいつからいつまでするの?女の子、男の子、こいのぼりは、お雛様と人形、兜は?
❐男の子→鎧兜、鯉のぼり
鎧兜・武者人形などの五月人形「内飾り」→3月20日の春分の日を過ぎた頃から飾り始める。
鯉のぼり「外飾り」→4月上旬頃から飾り始める。
しまう時期は厳密には決まっていませんが、季節の節目を意味するのが節句なので、5月の中旬頃までがよいでしょう。
なお、こいのぼり、五月人形ともに翌年も使うものなので、大切にあつかいましょう。
❐女の子→雛人形
飾る期間は2月4日~3月3日を目安にします。
しかし、3月3日当日に飾り始めるのは「一夜飾り」と言いタブーとされています。
また片付けるタイミングは、3月3日を過ぎると片付けるところが多いです。
目安としては2週間以内には片付けましょう。
片付ける時期が遅くなると、婚期が遅れるとう説もありますので、早めが良いです。
料理
初節句では特別な料理を食べることで、健やかな成長を祝います。
男の子
端午の節句には柏餅、ちまきなどの縁起の良い食材を準備しましょう。
すすめの料理は、端午の節句に限りませんが、「お節句」の料理は基本的に「初もの」「旬のもの」を使うと縁起がよいとされています。
4月、5月の旬の食材で、子供の日の料理に広く使われている食材が良いでしょう。
おすすめの食材を10種次にご紹介致します。
❐ちまき
「端午の節句」は中国の風習から来ており、中国で「粽(ちまき)」は、災いを除けるという意味があります。
関西地方でよく食べられます。
❐柏餅
柏の葉の意味は、次の新芽が出るまで落ちないことから、「家督が絶えない」「子孫繁栄」の象徴とされている為に縁起食材とされています。
関東地方でよく食べられます。
❐鰤(ブリ)
端午の節句は、男の子が立身出世を願うための行事です。
鯉のぼりを飾る意味も、この「立身出世」です。
鯉はあまり食べないので、その代りに縁起が良い出世魚のブリを食するのです。
❐鰹(カツオ)
語呂合わせですが、鰹(かつお)→勝男(かつお)とも読めるので、男の子にとっては縁起の良い食べ物になります。
5月の鰹は、身が締まってさっぱりとしているので、とても美味しいですね。
子供には火を通して食べさせるのが良いでしょう。
大人はお刺身やたたきで食べたいですね。
❐筍(たけのこ)
筍が旬なのは3~5月の上旬なので、ちょうど旬に間に合います。
竹の成長は天に向かって真っ直ぐに伸びることから、健康や立身出世を願うにはピッタリの縁起が良い食材です。
ちらし寿司の素材としていれても良いですし、煮物にしても美味しいです。
❐豆(小豆・大豆など)
また語呂合わせになりますが、豆(めめ)→魔滅(まめ)と読めることから、豆には厄除け効果があると考えられており、お祝いごとには欠かせない食材になっています。
お赤飯や煮豆などで使われ、赤飯であれば「赤」の色が邪気を払うと言われています。
❐海老(えび)
エビの湾曲した形から、腰が折れ曲がるまでいきられるようにと、健康と長寿を願う縁起の良い食材です。
天ぷらにする、ちらし寿司の材料として使います。
❐蕗(ふき)
蕗(ふき)→富貴(ふき)と読めることから富と高貴な位を手にするようにとの願いが込められており、縁起の良い食材です。
旬な時期は3~5月になります。
料理では煮物がいいですね。
❐蓬(よもぎ)
蓬は放つ強い香りが、邪気を寄せ付けないとされており、人形を編み飾られるという使い方がされています。
天ぷら、おひたしやあえ物にすると美味しいです。
❐まとめ
初節句だけではなく、節句に合った縁起の良い食材を上げました。
ただし、お子様が好きなものを作って上げるのが一番かもしれません。
これらの縁起の良い食材を出来るだけ使いながら、お子様が食べられる料理を作って上げるのがよいでしょう。
女の子
ひなあられ、ちらし寿司、ハマグリのお吸い物、白酒、菱餅など、行事食と言われる5アイテムは縁起が良いとされているので、最低限用意したいものです。
これらを食べるとご利益があるとされています。
プラスして、甘いスイーツなども自由に増やしてもよいです。
しかし、これらの縁起の良いモノなしで、縁起に関係のない、肉料理、フライドポテト、ハンバーガーなどだけで行うのは良くないです。
おすすめの9食材を次にてご紹介致します。
❐菱餅(ひしもち)
古代中国の「上巳節」に食べられていたもので、母子草の餅が元になっています。
これを食べる意味は、「母子ともに健やかに」という願いが込められています。
この慣習を日本が取り入れて、江戸時代現在の菱餅(ひしもち)の形が出来上がったとされています。
菱餅には、桃色、白、緑の3色あり、それぞれに意味があります。
【 桃色(赤)】
くちなしの実にある解毒効果と、赤は魔よけの色とされています。
【白】
菱の実には血圧を下げる効果があり、白は子孫繁栄、長寿、純潔の意味があるとされています。
【緑】
よもぎには厄除け効果があり、緑は健やかな成長という意味があるとされています。
❐ひなあられ
江戸時代の風趣として、ひな人形を持ち野山や海辺へ出向き、春の景色を見せてあげる「ひなの国見せ」という風習がありました。
その際に、ごちそうと一緒に持っていったのが「ひなあられ」です。
❐桃花酒・白酒・甘酒
昔、桃の花を酒にひたした「桃花酒」(とうかしゅ)を飲む風習がありました。
この「桃花酒」(とうかしゅ)には、桃が百歳を表す「百歳」(ももとせ)に通じると考えられていました。
これが、江戸時代に入ると、「白酒」が好まれるようになり、ひな祭りになると「白酒」を飲む習慣が定着していったのです。
白酒の味は甘いのですが、アルコールは10%と結構な度数になります。
アルコールがダメな方はアルコールが入っていない、甘酒を飲むと良いでしょう。
❐蛤(はまぐり)のお吸い物
蛤(はまぐり)は、良縁に恵まれるようにとの願いが込められています。
蛤(はまぐり)は2枚貝なので、対になっている貝だけが蓋が閉まります。
これを貞操の象徴と捉えたことから、良縁に恵まれるという願いの象徴になったそうです。
❐ちらし寿司
チラシ寿司は、縁起の良い具材をトッピングすることが重要です。
縁起のよいトッピング
❐まとめ
上に上げた食事を押さえた上で、出来るだけカラフルになるメニューを出すのが良いでしょう。
明るい雰囲気おなかで、それぞれの方が幸せで楽しい気分になることが何よりも重要です。
お参りと写真撮影
これは必須ではありませんが、フォトスタジオで写真を取ってもらうというのも良いでしょう。
撮影、衣装、デザイン、写真カバー制作込みで3万円代のところが多いです。
また、神社へいき祝詞を上げてもらうかたも多いです。
初節句の飾りは誰が買う?
昔 初節句の飾りは、母方の祖父母が贈ってくれるというのが、一般的でした。
しかし、その習わしも段々となくなって来ています。
自分達で用意するケース、母方の祖父母からは鯉のぼり、父方の祖父母からは鎧兜というように、相談しながら決めるケースも多くなっています。
これに関しては、祖父母に相談しながら、決めましょう。
お祝い金の相場は?
お祝い金の相場は、次になります。
送り主 | 金額 |
父方の祖父母 | 30,000円~300,000円 |
母方の祖父母 | 100,000円~300,000円 |
親戚 | 贈り物+5,000円~10,000円 |
兄弟 | 贈り物+5,000円~10,000円 |
友人・知人 | ・3,000円~5,000円 ・品物のみ |
しかし、これはあくまで目安です。
初節句はお飾りを買うお金のウエイトが大きいので、そのお飾りを買う金額によってお祝い金が大きく変わってきます。
安いお飾りを買ったのに、祖父母から何十万円ものお祝いを頂くと失礼になります。
特に祖父母とは、連絡をみつにして、住宅事情にあったお飾りを選び、その金額に見合ったお祝いを頂くように調整しましょう。
初節句の食事会はどのようにするの?
昔は、初節句の食事会には、大勢の親戚縁者を招待して盛大にやっていましたが、最近は家族だけで、祖父母だけを呼んで行うことが多くなっています。
また、親戚の中でも親しい人だけを呼ぶだけのケースも多く、普段付き合いの薄い親戚を呼ぶ必要はありません。
初節句のお返しは?
初節句にお祝いを頂いた場合には、食事会に招待することでお返しになるというのが一般的です。
しかし、食事会に来られない事情がある場合には、頂いた金額の1/3~1/2程度のお品を贈るのが良いでしょう。
タイミングは、女の子の桃の節句なら3月中、男の子の端午の節句なら5月中が目処になります。
お返しについての詳しい内容は次のコラムをご参照下さい。
まとめ
桃の節句も端午の節句も毎年のことですが、初節句は一生で一度だけのお祝いごとです。
飾り、食事、などは出来るだけ、お作法に沿ったやり方をしながら、場合によっては柔軟に変更をしても良いと思います。
祖父母と相談しながら、それぞれの方々の気持ちを尊重しながら、楽しむことができれば良いですね。
何より一番大事なのは、お子様が元気で健やかに育って欲しいという願いです。
また、写真や動画を撮って、思い出になるような日にしたいものです。