カタツムリに寄生して、カタツムリ本体を意のままに操る寄生虫がこの世には存在します。

その奇妙な生物の名は「ロイコクロリディウム」という小さな寄生虫で、主にアメリカ、ヨーロッパに生息しています。

また、主な宿主ではないのですが、ネズミ経由でカタツムリに稀に寄生してしまうのが「広東住血線虫」です。

このコラムでは「ロイコクロリディウム」と「広東住血線虫」の生態、危険性についてご紹介致します。


ロイコクロリディウムの生態


まず「ロイコクロリディウム」の生態は一体どのようなものでしょうか。
それを時系列のご説明します。

【卵時代】
卵は鳥の糞の中で過ごし、カタツムリに食べられるのをじーっと待ちます。

【孵化】
鳥の糞の中に潜み、晴れてその糞をカタツムリが食べると、カタツムリの中で孵化します。

【成長】
カタツムリの中で孵化すると、カタツムリが摂取する食物を横取りするように自分が食べて成長します。

【触覚に移動】
カタツムリの体内で成長すると、触覚に移動します。
↓は「ロイコクロリディウム」がカタツムリの触覚に移動するときの映像です。

【脳まで乗っ取る】
触覚に移動し「ロイコクロリディウム」はカタツムリの脳を乗っ取りコントロールします。
普段は敵を避ける為に昼間は隠れていて、夜活動するカタツムリですが、それを逆の行動を取らせて、昼間に行動させるように
脳へ指示をだし、更にはは触覚に入り芋虫に見えるように擬態します。
これは、昼間に活動させることと、芋虫に擬態することによって、最終宿主である鳥に食べられるためです。
鳥は、カタツムリを芋虫だと勘違いして食べてしまいます。

カタツムリが「ロイコクロリディウム」にのっとられた状態の動画。

【成虫になる】
鳥がカタツムリを食べると、「ロイコクロリディウム」は鳥の腸の中で「成虫ジストマ」になります。

【繁殖】
「成虫ジストマ」は鳥の腸の中で、繁殖します。
オスメス両方の生殖器を持っているたので、一人でも複数でも交尾が出来ます。
鳥の腸の中で、卵を生み続けていると、それが糞として外に排出され、その糞をまたカタツムリが食べるのです。

こうやって、「鳥の糞→カタツムリ→鳥の腸→繁殖→鳥の糞」というサイクルで他の動物の体内で繁殖し続けるのです。

動画を見ると、恐ろしいです。





ロイコクロリディウムの凄さ


「ロイコクロリディウム」の凄さについて、少し触れたいと思います。

多くの寄生虫は宿主が大事

多くの寄生虫は、一旦宿主に寄生すると、その宿主にあまり被害が及ばない程度に、体に栄養素を奪いながら生きながらえます。

そして、宿主の体内で繁殖して、宿主の糞が他の宿主が食べるなどして、子孫を残してます。

宿主が死ぬと、自分も死ぬので、ある意味家主である生き物は元気でいて欲しいわけです。

中間宿主を殺す

「ロイコクロリディウム」は他の寄生中と違い、自分が寄生した中間宿主を最終宿主に食われて死ぬように仕向けるのです。
この点が、「ロイコクロリディウム」の凄いというか、恐ろしいところです。

宿主を完全に乗っ取る

昼間の活動を好まないカタツムリが「ロイコクロリディウム」に寄生されると、日中の活動が活発になります。

これは、カタツムリの触覚に入り込み視覚情報、脳神経をコントロールしているからだと言われています。

そして、さらには「ロイコクロリディウム」はカタツムリの寿命まで伸ばすと言われています。

更には触覚を乗っ取り、芋虫に擬態までしてしまうのです。

これら3つの要素を本体のカタツムリを乗っ取り、コントロールして鳥に食べられる確率を高めるのです。

怖すぎですね。

「ロイコクロリディウム」が人間へ寄生のリスクは

今の所、「ロイコクロリディウム」が人間に寄生して、なんらかの病理的な症状が出たと言う話しはないようです。

人間に積極的に寄生するような生態系は持っていなのでしょう。

「ロイコクロリディウム」が寄生しているカタツムリをもし食べたとしたら、寄生される可能性はあるのかもしれませんが、その辺にいるカタツムリを食べる習慣が私達にはありません。

食べるのはフランス料理の「エスカルゴ」になるでしょうが、火を通すので、そのリスクはほとんど無いと考えられます。

 

人間にも寄生する「広東住血線虫」

日本ではまだ例がありませんが、アフリカマイマイというカタツムリに寄生していた「広東住血線虫(カントンじゅうけつせんちゅう)」に人間が寄生されて、体に痛みが出て、右半身麻痺しベットから起き上がれない状態になったという例があります。

 

「広東住血線虫」の寄生経路は

「広東住血線虫」ネズミを宿主にしている寄生虫ですが、そのネズミの糞をアフリカマイマイが食べてしまい、それ経由で人間が寄生されるケースがあるそうです。

「広東住血線虫」の特徴

「広東住血線虫」はドブネズミ、クマネズミを主な宿主にしており、肺動脈に寄生するという特徴があります。

肺動脈に寄生すると、そこで卵を孵化させます。

孵化した幼虫は肺から気管、食道を経て胃腸を通り、糞として体外に排出され、その糞をねずみが食べることで子孫を残します。

この「広東住血線虫」がアフリカマイマイを食べる、野菜経由で食べるなどして人間が体内に入れてしまうと、胃腸を破り、脊髄に侵入して、その髄液を
通り脳への到達することがあるそうです。

脳へ到達すると「広東住血線虫」は死にますが、脳に死骸が残るのでそれを人体は異物とみなし、過剰な免疫反応が起きることにより、
髄膜脳炎が発症し激しい頭痛、手足のしびれ、嘔吐、めまい、などを引き起こすことがあるそうです。

「広東住血線虫」が人間に入るケース

「広東住血線虫」はアフリカマイマイを経由で人体に入る可能性はありますが、アフリカマイマイは加熱して食べるものなので、100℃で3分加熱すれば
死滅するため、食べても問題はないと言われています。

アフリカマイマイを食べなくても、アフリカマイマイが出す粘液にも「広東住血線虫」が付着することがあります。
つまり、アフリカマイマイが這った野菜に「広東住血線虫」が付着して、その野菜を食べることで人体に侵入するケースがありえます。

日本は大丈夫?

今の所「広東住血線虫」に寄生されたという話しはあまり聞きませんが、日本国内でもネズミに寄生している「広東住血線虫」が発見されています。

そこから、カタツムリ→野菜→人体という経路での侵入の可能性はゼロではない気がします。

野菜はよく洗って食べるのがよいでしょう。

まとめ


カタツムリを宿主にする寄生虫は主に「ロイコクロリディウム」というもので、その生態は非常に恐ろしいですね。

ただし、カタツムリを食べる習慣がないので、私達が寄生されるリスクは少ないと言えるでしょう。

もう一つは「広東住血線虫」ですね。
とにかく野菜をきっちり洗って食べることが重要ですね。