歳神様とはどんな神様?それはお正月に家にお迎えする神様です

誰もが毎年何らかの形でお祝いをしている、お正月という行事。

この行事には、歳神様という神様をお迎えし、おもてなしし、お送りするという意味があります。

そして、この歳神様が今年1年の幸せと恵みに溢れた年になるように守ってくださると考えてられて来たのです。

このコラムでは、お正月にお迎えする「歳神様」とはどんな神様なのか?をご紹介致します。
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歳神様とはどんな神様?


歳神様とは、毎年正月になると山の上から各家に降りてくる、来訪神(らいほうしん)でありこの呼び方は地方によって様々で、お歳徳(とんど)さん、正月様、恵方神、大年神(大歳神)、年殿、トシドン、年爺さん、若年さんなどと呼ばれています。

さらに、歳神様は複数の謂われのある神様で「穀物神」「祖霊」「歳徳神」でもあります。

四つの神

・お正月に日の出と共に各家にやってくる→「来訪神」
・五穀豊穣を司る田の神、稲の神→「穀物神」
・私達の先祖である家を守る神→「祖霊」
・毎年の福や徳の方角である恵方を司る→「歳徳神」

歳神様とは複数の神様を包含した神様なのです。

❏来訪神
この来訪神とは、年に一度決まった時期に人間の世界に来訪するとされる神であるであり、代表的なものに「吉浜のスネカ(岩手県大船渡市)」、「米川の水かぶり(宮城県登米市)」、「甑島のトシドン(鹿児島県薩摩川内市)」などがあります。

❏穀物神
五穀豊穣を司る田の神、稲の神です。
古代日本では穀物のことを「登志」とよんでおり、やがてこの「登志」が「年」と書かれるようになりました。
「年」は期間を表す言葉になるのですが、「穀物」は田植え~収穫という命のサイクルを成すものであり期間そのものを表すという世界観から、「穀物(登志)」→年(期間・サイクル)とうい言葉に変容していったのです。

❏祖霊
祖霊は先祖神であり、家を守ってくれる神です。
祖霊信仰(それいしんこう)は既に死んだ祖先が、生きている者の生活に影響を与えている、あるいは与えることができるという信仰です。

❏歳徳神
歳徳神は、陰陽道からきており、その年の福徳を司る神です。
歳徳神の在する方位を恵方(えほう、吉方、兄方)、または明の方(あきのかた)と言い、その方角に向かって事を行えば全てうまく行くと言われています。

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節分に食べる恵方巻(巻きずし)恵方とは、歳徳神様がその年にいらっしゃる方角です。

 

日本神話に登場する


歳神様は古事記などの日本神話に登場しており、素戔嗚尊(すさのおのみこと)と妻の神大市比売(かむおおいちひめ)との間に生まれた大年神/大歳神(おおとしのかみ)、そして大年神の子である御年神/御歳神(みとしのかみ)が歳神様であると言われています。

 

歳神様が祀られている神社


歳神様である「大年神」「御年神」を祀る神社はたくさんありますが、主要な神社をご紹介します。

・大歳御祖神社(静岡県静岡市葵区)
・飛騨一宮水無神社(岐阜県高山市)
・葛木御歳神社(奈良県御所市)
・大和神社(奈良県天理市)
・下谷神社(東京都台東区)
・大歳神社(山口県下関市)

歳神様をお迎えする


ここまでは、歳神様とはどんな神様なのか?をご紹介してきましたが、ここでは歳神様をお迎えし、おもてなしをし、お送りするまでに必要な事項をご紹介致します。

Step1 神棚の準備


神棚がある場合は、12月13日に煤払い(すすはらい)を行い、で28日までに、お札・しめ飾り・鏡餅をお供えします。

神棚がない場合は、棚の上などのできるだけ高い位置に設置スペースを確保し、そこを清掃します。
尚、テレビの上などの音がでるところは避けます。

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Step2家の中を綺麗にする


まずは、家の中を綺麗にします。

年末の大掃除ですね。

家の中が汚れているなかに、歳神様をお迎えするのはよろしくないのです。

時期は12月13日~12月28日の間に行いましょう。

12月29日は「9」→「苦」になり縁起が悪いので、12月28日迄に終わらせましょう。

 

Step3 門松・しめ縄・鏡餅

次は、門松、しめ縄、鏡餅を準備します。

門松、しめ縄、鏡餅は、掃除が終わってから飾るのが基本です。

12月28日までに飾り、12月29日は避けます。
31日は一夜飾りという「直前に慌てて飾った」状態になるので、これも好ましくありません。

やはり、12月28日までに掃除→飾り終える状態にするのが理想です。

 

❏門松

門松は、松飾り、飾り松、立て松とも言います。
歳神様が迷うことなく家にいらっしゃるための目印として門松を飾ります。

一番理想的なのは、近隣の山へ行き天然の松を切って持ってくるのが良いのですが、それは大変なので市販のもので準備しましょう。

住宅環境によって、門松の設置が難しい場合はしめ縄だけでも大丈夫です。

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❏しめ縄


神様をまつるのにふさわしい神聖な場所であることを示す意味と、しめ縄が神の領域と現世を隔てる結界となり、その中に不浄なものが入らないようにするために、しめ縄を飾ります。

尚、しめ縄の種類飾り方は非常に多数のものがあり、その地域や家の考え方によって違ってきます。

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❏鏡餅

鏡餅には歳神様が宿り、お正月が終わりお帰りになられた後、鏡餅を割り細かくして食すことで、歳神様の魂のパワーを授かることができるとされてます。

鏡餅は1つに限らず、複数お供えしても大丈夫です。
メインの鏡餅は床の間へ、小さめのものは神棚や仏壇にお供えするのが良いです。

床の間がない場合ご家庭の場合は、リビングのように家族が集まる場所に飾ります。

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片付けるタイミングは?


準備した一連のものを片付けるのはいつが良いのか?についてご紹介します。

歳神様が家におられるのは「松の内」と呼ばれる期間でそれは次になります。

❏関東 1月1日~1月7日
❏関西 1月1日~1月15日

神様がおられる間に片付けてはなりませんので、この期間以降に行う必要があります。

鏡開きは関東では1月11日、関西では1月20日に行うところが多いので、目安はその日の前後が良いでしょう。

しめ縄は神社の炊き上げに持っていき、鏡餅は食べましょう。

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まとめ


日本のお正月という行事は、この歳神様をお迎えし、おもてなしし、お送りするための行事と言っても過言ではありません。

これらの行事の意味が分かると、日本という国は、農耕・稲作が生活と神との関わりかたのベースになっているということが、見えて来る気がします。

行事でなんとなく行っていたことの中には、その深い意味と歴史が刻まれていることに気付かされます。

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