「春の七草」という言葉を耳にするのは正月ムードが終わりに差し掛かったころになります。

その頃になると、七草粥を食したことはありますか?

七草粥をこの時期に毎年食べるという風習はかなり廃れてしまいましたが、おばああちゃんの勧めで食べたことがある方もおられるでしょう。

七草粥は「春の七草」に入る7つの野菜が入っているので七草粥と称されています。

この七草とは「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ」の7つのことを指します。

春の七草とはどんな意味や由来がありその栄養はどのようなものなのか?などの疑問をお持ちの方へ、このコラムではそれらの疑問と七草の覚え方などについてご紹介致します。


春の七草とは


まず、春の七草とはどんな草なのかをご紹介致します。

種類はセリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロの7つの草になります。

セリ(芹)

別名シロネグサ(白根草)とも呼ばれ、主に土壌水分の多い場所に生育している湿地性植物。
サイズは高さは30cm程度まで育ちm、7~- 8月には茎の先端に傘状の小さな花が咲く。
分布は北半球一帯とオーストラリア大陸。
セリの若菜は七草の時期だけではなく、鍋物、お浸しなどにも使われ、その強い香りが食の風味を引き立ててくれる馴染みの深い野菜です。

→栄養・効能
ビタミンCやミネラルが豊富で、食物繊維も含み便秘など効果的。

ナズナ(薺)

別名ペンペングサ(ぺんぺん草)、シャミセングサ(三味線草)とも呼ばれ、田畑や道端などでよく見かけ、あまり場所を選ばずいたるところに生えている。
サイズは、高さ30cmほどで、2~-6月には直径3mmほどの小さな花が咲く。
昔は冬季の貴重な野菜で、若苗を食用にていた。
民間薬としても使われ、色々な症状に効果がある優れた薬草として用いられる。

→栄養・効能
殺菌、消炎作用があり薬草として活用されてきた。

ゴギョウ(御形)

別名ハハコグサ(母子草)とも呼ばれ茎葉の若いものを食用にする。
冬の時期は根出葉が出て育ち、春の時期には茎を伸ばして花が咲き、道端などでよく見かける。
サイズは高さは10〜30cmほどになり、葉と茎には白い綿毛ができる。
分布は中国、インドシナ、マレーシア、インドに渡り、そして日本では全国にある。
「御形」は「ごぎょう」とも「おぎょう」とも読まれ一般的には「おぎょう」が正しいとされる。

→栄養・効能
草餅の材料として使われていた。
鎮咳作用があり、咳、たんなど風邪の予防にもなる。

ハコベラ(繁縷)

別名はハコベとも呼ばれ、路地や田畑などに自生しており、春先になると小さな白い花が咲きます。
形態は背が低く茎は株状になったり1本立ちになり、枝分かれして密集した群落状を形成します。
食用では「お浸し」などで馴染みがあります。
→栄養・効能
豊富にミネラル含み、整腸作用がある。

ホトケノザ(仏の座)

タビラコとも呼ばれキク科の属し、シソ科のホトケノザとは別物でそちらは食用にはならないので注意。
外形は葉が地面に張り付いたように重なり合い、円座状をなす。
仏の台座に使われる開いたハスの花の形に似ているので、「仏の座」という名称が付けられた。
呼び方は現在「タビラコ」が主流になっている。
→栄養・効能
生薬として活用されています。

スズナ(菘)

一般にはカブ(蕪)と呼ばれており、世界中で栽培されている。
アフガニスタン原産のアジア系品種と中近東から地中海沿岸の原産のヨーロッパ系の2変種に分類される。
根の部分の栄養素は、葉にはカロテン、ビタミンC、食物繊維が豊富に含まれていおり、日本では馴染みの深い野菜である。
味は苦味や辛味がるが、甘味もあり、寒い時期ほど甘い。

→栄養・効能
茎には豊富なカルシウムが含有。

スズシロ(清白)

大根の別名であり、日本では誰もが日常的に食している馴染みの深い野菜。
葉の部分は緑黄色野菜でもあり、根は淡色野菜でもある。
日本国内で流通しているものは、ほとんどが白い品種であるが、それ以外に多くの品種が存在し根の長さ・太さなどの形状が多様で、皮の色も白以外に赤、緑、紫、黄、黒などがある。

→栄養・効能
酵素が含有されており、消化促進効果がある。





春の七草の意味と由来、いつ食べるの?


春の七草はただお粥の食材として、使われるということではなく、そこには色々な意味と由来があります。

1月7日の朝にお粥にして食される7つの植物が「春の七草」であり、そのお粥を七草粥と呼んでいます。

日本の風習のほとんどは、中国由来のものを参照し独自に解釈発展させたものです。

春の七草も例にもれず、中国が起源になります。

紀元前206年頃の中国では新年に日付に動物を当て込む占いが行われていました。

具体的には次のものです。

日付と動物

1月1日→鶏
1月2日→犬
1月3日→猪
1月4日→羊
1月5日→牛
1月6日→馬
1月7日→人
1月8日→穀

これらの日が晴天ならば吉で雨天ならば凶の兆しであると考えられていました。

この風習が続き、時を経て618年唐の時代に入ると、人の日である1月7日を七種菜羹(ななしゅさいのかん)という7つの草や野菜を入れた、汁つくり食べる風習が生まれました。

この汁を食すことには「無病息災」「立身出世」の願いが込められていました。

無病息災 → 1月7日にあやかり7種類の体いよい野菜を食すこと。
立身出世 → 1月7日は昇進を決める日になっていたことにあやかった。

当時の中国中南部地方の風俗に関する書物には、「正月七日を人日となす。七種の菜を以て羹(あつもの)をつくる」とい記述が見られます。

これは1月7日人日の日に七種の若菜を羹(熱く煮た吸い物)にして食べると年中無病でいることができるという俗信について書かれたものです。

想像するに、新年に摘む野菜には新しい生命力が宿っていて、それを1月7日の「人日」に食すると邪気祓の効果があると考えていたのかもしれません。

この中国の風習が後々日本にも伝来されて来ることになるのです。

日本に伝わった「七種菜羹」と「5節句」


中国の「七種菜羹」が日本に伝来して、それが「春の七草」「七草粥」という今のかたちになるまでのプロセスはどのようなものだったのでしょうか?

春の七草の原型ができる

中国で定着していた「七種菜羹」の風習が、日本に伝来したのは、奈良時代にだと言われています。

奈良時代の日本には、お正月に若菜を摘んで食べる「若菜摘み」という風習がありました。

当時の天皇であった光孝天皇(830~887年)の歌に次のものがあります。

「君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ」

これは「君のために春の野に出て若菜を摘みながら、着物には雪がかかってくる」といった意味でしょう。

1月15日に米・粟・稗・黍・ミノ・胡麻・小豆の7種類の穀類をお粥にして食べる習慣もありました。

さらにときは流れ、平安時代に入ると、中国の「七種菜羹」と日本に従来からあった「若菜摘み」「7つの穀類を食べる」風習3つが融合され、現代の「七草粥」へと変容しその原型が出来上がったと言われています。

五節句との融合

奈良時代には、五節句が中国から伝来してきました。

中国では、奇数(陽)は縁起の良い日で偶数は縁起が悪い日と考えられていました。

1月7日のような奇数月の奇数日は、奇数(陽)が重なって偶数(陰)になるので、陰の影響を祓うために季節ごとの旬の食べ物を食べることで生命力高め邪気を祓う避邪(ひじゃ・魔除けという意味)という儀式が行われていました。

この風習が奈良時代(710年~794年)に日本に伝わって宮中行事になったと言われています。

5節句の日と内容は次になります。

5節句の日と内容

◆1月7日 人日(じんじつ)
この節句が「七草の節句」として、七草粥を食べて一年の豊作と、無病息災を願う日。
◆3月3日 上巳(じょうし)
「桃の節句」とも言われ、お雛祭りの日で、女の子の誕生と成長を祝う日。
◆5月5日 端午(たんご)
「菖蒲(しょうぶ)の節句」と言われ、子供の日になっており、男の子の誕生と成長を祝う日。
◆7月7日 七夕(しちせき)
「笹の節句」と言われ、短冊に願いごとを書く日。
七夕まつりの由来の節句でもあります。
◆9月9日 重陽(ちょうよう)
「菊の節句」と言われ、一般社会には普及していない節句ですが、宮中や寺院では菊を鑑賞する行事が行われています。

5節句の行事は宮中から始まり、江戸時代(1603年~1868年)に入ると幕府の公的な定例行事になりそれがさらに、一般庶民へと普及しました。

この時期に従来からあった農家の風習と融合しながら、今の形ができあがったと言われています。

「春の七草」「七草粥」の風習が、この5節句の1つである人日(じんじつ)の1月7日に食されるようになったのが、今の形の誕生になります。

尚、5節句は明治6年(1873年)に太陰太陽暦(旧暦)が廃止され西洋社会のスタンダードである太陽暦(新暦)に歴が変わった際に、制度としての5節句は廃止されましたが、行事そのものは民衆の間で引き継がれていきました。

1月7日は一般的なお正月の期間である「松の内」(1月1日~1月7日)の最終日になり、連日普段食べることのないご馳走を食べ続けてきことにより疲れた胃を、最終日に七草粥によって休ませるという目的もあったようです。

春の七草の覚え方


春の七草の覚え方を3つご紹介致します。

春の七草の覚え方
(1)短歌のリズム
(2)頭文字
(3)歌う

短歌のリズム

短歌のようにリズムで覚える方法。
5・7・5・7・7のリズムに乗せてテンポ良く覚えましょう!
5→せり/なずな
7→ごぎょう/はこべら
5→ほとけのざ
7→すずな/すずしろ
7→はるのななくさ

呪文のように繰り返すと5分もあれば覚えられます。

頭文字で覚える

頭文字での覚え方です。

せり
なずな
はこべら
ごぎょう
ほとけのざ
すずな
すずしろ

頭文字をとると、「せなはごほすす」となり、意味のない言葉になってしまうので覚えにくいです。
ここでれに意味を付けます。

春の七草は真冬の風邪の季節なのでそれちなみ「セナくんハ風邪をひいてゴホと咳をし、鼻水をススっている」とおぼえます。
セナ・ハ・ゴホ・スス

歌で覚える

ベートーベンの「エリーゼのための」の曲に合わせて覚えます。

まとめ


現在では七草粥を食べる習慣はあまり見かけなくなりましたが、調べてみると5節句という日本の伝統的な行事であり神道日本ならではの儀式の意味があります。

そして、食材としての栄養価や効能も実は高いということが分かります。

もしかしたら、正月太りの抑制にも少しは効果があるのではないかとも思いました。

作り方は、普通のお粥と同じで、違いは七草を細かく刻んで入れるだけですので、非常に簡単です。

1月7日に限らずとも七草粥を一度お試しあれです。

 

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